『Divinity』シリーズの開発元として知られるゲームスタジオLarian Studiosは2月28日、『Baldur’s Gate 3』のゲームプレイ映像を初公開した。同作はPCおよびStadia向けに開発が進められており、2020年内にSteamでの早期アクセス販売が開始される予定となっている。以下は現在開催中のゲームイベントPAX Eastにて披露された、約1時間におよぶゲームプレイ映像。オープニングムービー、キャラクタークリエイション、そしてストーリー第1章の一部が確認できる。
初代『Baldur’s Gate(バルダーズ・ゲート)』は、ファンタジー・テーブルトークRPG『アドバンスド ダンジョンズ&ドラゴンズ』第2版をベースにしたRPGとして、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下、D&D)を販売しているWizards of the Coastから正式ライセンスを得て1998年に発売された。その後はBioWare開発のもと『Baldur’s Gate II: Shadows of Amn』『Baldur’s Gate II: Throne of Bhaal』と新作リリースが続いたが、しばらく休眠状態に。このたび20年近い時を経て、待望のナンバリング新作が誕生する。
『Baldur’s Gate 3』は『Divinity』シリーズのLarian Studiosのもと、社内250人、社外100人の合計350人体制で開発中(GamesIndustry.biz)。最新のDivinity 4.0エンジンを採用しており、Larian Studiosの過去作を超える探索・実験の自由度およびリプレイ性の高さを誇るという。キャラクターの言動によって変化する、仲間との関係性およびNPCの反応といった人間関係の描写追求は変わらず。Larian Studiosの過去作から進化したグラフィック、パフォーマンスキャプチャーを用いたシネマティックなカットシーンや会話シーンなど、映像表現もリッチになっている。単に視覚演出が豪華になっただけでなく、スキルチェック発生時には実際に20面ダイスを振るという、『D&D』らしい演出も見られる。
新作の舞台となるのは、シリーズおなじみのフォーゴトン・レルム。時系列としては前作から100年が経過しており、物語は過去作をプレイしていない方でも馴染みやすいよう配慮されているという。精神を操るマインド・フレイヤーの手によって、脳に幼生(Tadpole)を植えつけられた主人公は、不思議な力を宿すことに。確かな恩恵を得ているとはいえ、放っておけばTadpoleに脳を食われてマインド・フレイヤーに変成してしまう。そうなる前に、Tadpoleを取り除く方法を探さねばならない。そうした共通の目的を有す、Tadpoleを植えられた者同士で協力しあうのだ。はたして主人公は、闇に飲まれてしまうのか。あるいは、Tadpoleの除外に成功するのだろうか。
『Baldur’s Gate 3』の戦闘は、過去作の「ポーズありのリアルタイム制」ではなく、『D&D』第5版のルールに基づいたターン制バトルを採用。戦闘外ではリアルタイムで動けるが、戦闘中はターン制に切り替わる。Larian Studiosが手がけた『Divinity: Original Sin』シリーズもターン制バトルであり、開発陣がすでに得意とする分野だろう。ただし、キャラクター単位のターン制ではなく、敵パーティーのターン、味方パーティーのターンの2者にまとめられている。味方ターン中は、どの順番でキャラクターを動かしてもよく、戦術的な連携がしやすくなっている。また同作には「ボーナスアクション」と呼ばれるコマンド群があり、ジャンプしたり、敵を突き飛ばしたり、手持ちの武器を近くの炎に浸したりといった、攻撃・防御以外の行動選択肢が与えられる。これらをうまく使えば、高低差のある3D空間を活かしたりと、有利に事を運べることだろう。
戦闘外は基本リアルタイムで進行するが、任意でターン制モードに切り替えられる。時間の流れを止め、次の6秒間の行動を決めて実行。すると他NPCのターンとなり、同じように6秒間行動する。ステルス行動時や、罠部屋を突破するとき、あるいは戦闘前に仲間を有利な配置に付かせたいときに有効活用できそうだ。また『Divinity: Original Sin』のように、同作では周囲のオブジェクトを持ち上げて動かせる。木箱を積み上げて階段がわりにするといった芸当も可能。『Divinity』シリーズの影響を感じさせながらも、高低差のある3D空間を活かしたゲームプレイや、豊富な環境インタラクション、戦術性と計画性を報いる流動的な戦闘システムなど、次世代RPGとしての進化が目指されている。
同作はソロプレイおよび最大4人でのCo-opに対応。早期アクセス開始時点では、ゲームの第1章、6種類のクラスがプレイアブルになる。以下は早期アクセス開始時点での実装が予定されているキャラクタークラスとアーキタイプ(PC Gamer):
・ウィザード:力術、防御術
・ローグ:アーケイン・トリックスター、シーフ
・レンジャー:ハンター、ビースト・マスター
・クレリック:生命、光、欺瞞の領域
・ウォーロック:フィーンド、グレート・オールド・ワン
また新しくキャラクターを作成するのではなく、「オリジン・キャラクター」5体から主人公を選ぶことも可能。こちらもLarian Studiosの『Divinity: Original Sin 2』で見られた要素だ。名前やバックストーリー、クラスが決まっており、固有の会話オプションが発生する。現時点で判明しているのは、Wyll(人間、ウォーロック)、Shadowheart(ハーフエルフ、クレリック)、Lae’zel(ギスヤンキ、ファイター)、Gale(人間、ウィザード)、そしてAstarion(ハイエルフのヴァンパイア・スポーン、ローグ)。主人公として選択しなかったオリジン・キャラクターは、NPCとして仲間になり得る。
それぞれの背景設定は決まっているものの、プレイヤーが決めた言動次第でも、仲間や他NPCとの関係性が変わっていく。パーティーとして組めるのは4人までだが、それよりも多くのキャラクターを仲間にしてもよい。その場合、野営地でパーティーメンバーを入れ替えられる。野営地では仲間と交流可。エグゼクティブ・プロデューサーのDavid Walgrave氏によると、ロマンス要素もあるという(Twinfinite)。
『D&D』第5版をベースにしつつ、Larian Studiosの『Divinity: Original Sin』シリーズで培ったノウハウが活かされている印象の『Baldur’s Gate 3』。PC(Steam/GOG)およびGoogleのクラウドゲームサービスStadia向けに開発中で、2020年内にSteamでの早期アクセス販売が開始される予定だ。