アイスランドのゲームスタジオCCP Gamesが開発・運営する宇宙戦艦MMOゲーム『EVE Online』。同作は、広大な宇宙を舞台に商売・採掘・戦闘などをおこなうMMO作品であり、2003年のローンチ以来、15年以上アップデートが継続。2016年には制限付きのF2P版がリリースされている。幅広いプレイスタイルに対応する自由度の高さや、同盟による大規模行動を可能にするスケール感などを魅力としており、ゲーム内で展開されるプレイヤー間の交流や闘争がメディアに報道されることも多い。
そんな『EVE Online』を運営するCCP Gamesは、かねてよりスピンオフFPS「Project Nova」の開発を進めていた。かつてPlayStation 3向けに発売された『EVE Online』関連作品『Dust 514』の精神的続編として、2016年に発表。PvEとPvPモードを備えたタクティカル路線のFPSとして、2018年にはプリ・アルファ段階のゲームプレイ映像も披露された。だが今年2月、CCP Gamesの親会社Pearl Abyssの投資家向け収支報告にて、「Project Nova」の開発中止が伝えられた。だが単純なキャンセルではないようで、CCP Gamesよりredditにて状況説明がなされた。
*海外IGNが2018年10月に公開した「Project Nova」ゲームプレイ映像
CCP Gamesの報告によると、「Project Nova」と呼ばれていたFPSプロジェクトは、コンセプト規模の拡大に伴い、アイスランドにいる開発チームの手元を離れ、ロンドンにある同社の別スタジオに移管したという。これまで「Project Nova」に携わっていたスタッフは、アイスランド・レイキャヴィークにあるスタジオ内の別プロジェクトに異動したとのこと。
プロジェクト移管の理由としては、2018年にゲームプレイ映像が披露された「Project Nova」のままでは、同コンセプトにより成し遂げようとした野心的な目標を達成できないとの判断が下されたからだと説明されている。現在『EVE Online』のFPSプロジェクトは、名前を変え、ロンドンにあるスタジオ全体が注力しているとのこと。開発規模の拡大やディレクションの変更に適したチームにタスキが渡されたということなのだろう。
CCP Gamesからは、このように当初の計画からプロジェクトが発展を遂げるのは、珍しい話ではないとも補足されている。同社は引き続き、美麗なビジュアルを備えた堅固なアクション志向のゲーム体験を届けられるよう取り組んでいくものの、プロジェクト規模およびディレクションの大幅な変更を踏まえ、「Project Nova」というコードネームは廃止したという。今後は社内コードネームを公表することを控え、正式に披露できるようになるまで待つとのことだ。
なおCCP Gamesのロンドンスタジオは2019年9月の段階で、未発表のアクションMMORPG開発チーム用の人材募集をかけていた。『EVE Online』世界に精通していることが応募条件として含まれていたように、ロンドンスタジオでは以前から、なにかしらの『EVE Online』関連プロジェクトが進行していたようだ。なお「Project Nova」のゲームディレクターであったSnorri Árnason氏は、すでに別チームに異動済み。FPSプロジェクトの未来を楽観視しつつ、自らの手元を離れた「Project Nova」について、喪失の7段階を踏み終えたとも語っている(Massively Overpowered)。はたして『EVE Online』のFPSプロジェクトは、「Project Nova」時代からどのような変貌を遂げ、どのような形で世に披露されるのだろうか。