フランスのゲームスタジオWolcen Studioが2月13日に正式リリースした『Wolcen: Lords of Mayhem』(以下、Wolcen)がSteamで人気上昇中だ。ローンチ当初からサーバートラブルに苛まれながらも、2月17日には同時接続プレイヤー数12万人超えを記録し、Steam全体での同数値ランキングでは3位に食い込む勢いを見せている(SteamCharts)。
『Wolcen』は、神秘と謎に包まれたファンタジー世界を旅するハックアンドスラッシュ・アクションRPG。主人公は、カスタガスの虐殺という事件を生き延びた3人の生存者のひとり。幼馴染のValeriaとEdricと共に、大審問官Heimlockのもとで、超常的な力に立ち向かう戦士として育て上げられた。だが都市国家Stormfall近辺での敵対組織との戦闘中、主人公の身に異変が発生。幼馴染3人の運命が狂い始める。
同作は従来的な見下ろし視点アクションRPGの系譜を継ぎつつ、CRYENGINEを活かした上質なグラフィックおよびビジュアルエフェクトや、クラス制限なく武器種やスキルの組み合わせにより幅広いビルドを試せる自由度の高さを売りにした作品。ローリング回避ありのダイナミックな戦闘システムを備えているほか、「Willpower」と「Rage」という、相反するスキル発動用リソースの管理システムから引き出されるスキル運用の妙味によっても差別化が図られている。開発ペースは遅めで、不具合の量も無視できないものの、ゲームシステムの独自性は好評を得ている。なおKickstarterキャンペーン時の約束からスケールダウンしており、未実装の機能も多いが、ハウシングに関しては将来的に実装する予定とのことだ。
クラスの概念がないかわりに、近接用・遠距離用・魔法用の武器種で使用可能スキルが分かれており、たとえば近接用片手武器と遠距離用片手武器を持てば、両タイプのスキルを操るハイブリッド型ビルドが作成可能。スキルの振り直しもでき、同一キャラクターで幅広いビルドを試せる。なお近接・遠距離武器による通常攻撃は「Rage」、魔法武器による通常攻撃は「Willpower」を補充。近接・遠距離武器用のスキルは「Rage」を消費する代わりに「Willpower」を補充し、魔法武器用のスキルはその逆の働きをする。「Rage」消費スキルと「Willpower」消費スキルを組み合わせるハイブリッド型ビルドが活きる仕組みとなっているのだ。
そのほかビルド構築に関わる部分では、レベルアップ時に得られる「Attribute Point」を4カテゴリの特性に割り振りつつ、スフィア盤系のパッシブスキルツリーを強化。装備品の組み合わせおよび装備品へのジェム(補正効果Mod)装着を通じて好みのキャラクターに仕上げていく。パッシブスキルツリーは3段階の入れ子リング形状となっており、リングを回転させる要領でスキルノードのつなぎ目を変えられるという、工夫が加えられている。また同作には装備品の染色および外見変更オプションも備わっており、外見カスタマイズ面で一定の自由度を保っている点も特徴的だ。
『Wolcen』では、マルチプレイに対応したオンラインモードと、ソロ限定のオフラインモードから選択してキャラクターを作成できる(キャラクターの互換性はない)。だが先述したとおりサーバートラブルが続いており、アクセス過多が原因で初日からオンラインモードにアクセスできない状態に。緊急アップデートを経て一時的に復旧したものの、クライアント側から送られてくる膨大な数のリクエストによってデータベースに問題が発生し、キャラクターが削除されたり、保管庫の中身が消えたりといった深刻な不具合が相次いだ。そして被害拡大を防ぐため、開発陣の判断によりサーバーがシャットダウン。丸2日サーバーメンテナンスが続いている。
『Wolcen』は2016年にSteamでの早期アクセス販売を開始。2020年2月に正式リリースを迎えるまでの約4年間、同時接続プレイヤー数はピーク時でも1000人台止まりであった。それがいきなり10万人台にまで跳ね上がったことで、想定を超えたアクセス数に耐えきれなくなったのだろう。なお2月17日13時時点では、まだオンラインモードへのアクセスは不安定な状態。オフラインでのプレイには支障ないが、オンラインで進めたい方は開発陣のアナウンスメントを待つのが良いだろう(公式ツイッター)。なお本作は日本語非対応である。