任天堂とソニーが共同開発していた幻の「Nintendo PlayStation」、プロトタイプのオークションが開始。早くも高値をつける

アメリカのオークションハウスHeritage Auctionsは2月13日、幻のゲーム機「Nintendo PlayStation」のプロトタイプのオークションを開始した。現在はウェブサイトや電話を通じた入札を受け付けている状況だ。

アメリカのオークションハウスHeritage Auctionsは2月13日、幻のゲーム機「Nintendo PlayStation」のプロトタイプのオークションを開始した。米国時間3月6日午前11時から現地会場にて競売がおこなわれる予定で、現在はウェブサイトや電話を通じた入札を受け付けている状況だ。

Nintendo PlayStationは、かつて任天堂とソニーが共同開発していた、スーパーファミコンとの互換性を持つCD-ROMドライブ搭載ゲーム機である。スーパーファミコンに音源チップを供給していた縁から、ソニーはCD-ROMドライブでの拡張を任天堂に提案し提携。ハードウェア開発を進めていたソニーは、1991年の家電見本市CESにプロトタイプを出展したが、そこで任天堂はフィリップスのメディア規格を採用することを表明したためプロジェクトは中止となった。

Nintendo PlayStationのプロトタイプは200台製造されるも、共同開発の中止を受けて、SCE(現SIE)の元社長Olaf Olaffson氏が保有する1台を除いてすべて破棄されたと伝えられている。そして、同氏がのちに務めたAdvanta Corporationが破産した際に、売却される資産の中にその1台が含まれており、今回の出品者Terry Diebold氏がほかのいくつかのアイテムと一緒に75ドルで落札したという。当時はNintendo PlayStationの存在は一般にはあまり知られておらず、Diebold氏はどれだけ貴重なものかは分かっていなかったそうだ。

そして2015年、Diebold氏の息子が実機の映像をYouTubeに投稿したことで、Nintendo PlayStationの存在が広く知れ渡ることとなった。その後親子は、ゲーム機改造で知られるYouTuberのBen HeckことBenjamin Heckendorn氏に、機能していなかったCD-ROMドライブの修理を依頼し、世界中のレトロゲームイベントを渡り歩くことに。しかし、そうしたイベント出展への出費が負担になってきたため、今回オークションに出品する決断をしたとのこと。

出品されているのは、Nintendo PlayStationの本体とコントローラー、そしてカートリッジと各種ケーブルである。本体手前にはCD-ROMドライブを搭載し、天面奥にはカートリッジの差し込み口、そして「SONY PlayStation」のロゴが確認できる。一方のコントローラーは、見た目はスーパーファミコンのコントローラーそのものだが、同じく「SONY PlayStation」の表記があり、こちらにはスーパーファミコンのロゴマークもついている。スーパーファミコンのカートリッジのようなものは、CD-ROMのシステムを起動させるために使用するものとのこと。CD-ROMゲームは存在しないが、スーパーファミコンのカートリッジを挿せばゲームがプレイできる状態であることが確認されている。

Nintendo PlayStationのプロトタイプについて出品者のTerry Diebold氏のもとには、これまでに120万ドル(約1億3100万円)で購入したいという申し出が寄せられたこともあったそうだが、同氏はこれを断ったという。Heritage Auctionsのビデオゲーム担当ディレクターValarie McLeckie氏は、このようなアイテムはこれまで出品されたことはなく価値は計れないとしている(関連記事)。

今回開始したオークションは、本稿執筆時点では31万ドル(約3400万円)の値をつけている。現在競合関係にある任天堂とソニーが共同開発したゲーム機のプロトタイプであり、この世に1台しか現存していないとされることを考えれば、これからさらに高騰する可能性もあるだろう。最終的にどのような価格で落札されるのか興味深い。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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