アトラスは1月28日、『十三機兵防衛圏』のセールスが10万本を突破したと発表した。発売から約2か月をかけてのマイルストーン到達となる。なお、本稿におけるセールスとは、パッケージ通常版・パッケージ限定版の出荷数とダウンロード通常版・ダウンロード豪華版の販売数の合計である。
『十三機兵防衛圏』は、ヴァニラウェアが開発するアドベンチャーゲームだ。厳密には横スクロールアドベンチャーパートとストラテジーパートを含んだ作品である。滅びゆく運命にある地球を舞台に、抗う若者たちの足掻きが描かれる。ヴァニラウェアお得意の細やかで幻想的なビジュアルに加え、13人の少年少女たちの視点から時間軸を利用したストーリーが語られるザッピングシステムを採用。13人の若者たちの過去が横スクロール形式で描かれる追想編と、彼らが未来へと立ち向かうRTS形式の崩壊編、そして物語や設定をフォローアップする究明編で構成されている。
新規IPながら開発期間の長いタイトルであり、現時点では国内向けにのみ展開されているという、昨今のトレンドに真っ向に逆行しており、異色だらけの本作。一度クリアすればリプレイ性はほぼない、市場としてはニッチなアドベンチャーゲームという性質を持ちながら、10万本というラインに到達できたのは、間違いなく偉業であるだろう。
ファミ通によると、パッケージ版の初週販売本数は3万4608本。ダウンロード版の推移次第であるので、初動など明かされていない現状は売れ行き傾向について言及しづらい。しかしながら、一般的にアドベンチャーゲームや固定ファンが多いタイトルなどは初動型になりやすい。そんな状況の中で売上を10万本まで伸びしたという事実は、本作の評価の高さが浸透してきたのかもしれない。もしくは、 押切蓮介氏によるヴァニラウェアの神谷盛治氏の過酷な開発背景を描いたマンガに共感したゲーマーがいたのかもしれない。
『十三機兵防衛圏』本編に新展開などは現時点で告知されていないが、なんといっても2020年2月27日にはオリジナル・サウンドトラックのリリースが予定されている。裏の主題歌ともいえる名曲「渚のバカンス」や、崩壊編を盛り上げるアツいBGMを詰め込んだ、サントラだ。ベイシスケイプの作曲家陣による、幻想と熱量が入り交じるBGM群を聞きながら、ゲーム本編を追想してみるのもいいだろう。同サントラはアトラスDショップにて専売される予定だ。