Atariがホテル事業進出へ。全年齢のゲーマーに“究極の没入体験型エンターテインメント”を提供するAtari Hotelsが米国で開業予定
Atariは1月27日、戦略エージェンシーのGSDグループと提携し、ホテル事業に進出することを発表した。世界初の、ビデオゲームをテーマにした宿泊施設「Atari Hotels」。まずは米国アリゾナ州フェニックスにて、2020年半ばより建設が開始される予定であり、その後ラスベガス、デンバー、シカゴ、オースティン、シアトル、サンフランシスコ、サンノゼと、米国の主要都市に展開していく。
Atari Hotelsは、Atariブランドを生かしたユニークな宿泊体験を届けることを目指しており、アーケードバーや最新のVR/ARアトラクションを含め、年齢を問わず幅広い層が楽しめる高没入感のホテルエンターテインメントが提供される。また一部のホテルでは、eスポーツイベントを開催できる会場とスタジオを併設するという。ホテルのデザインおよび建設は、GSDグループと同社パートナーのNapoleon Smith III氏が指揮する。
Napoleon Smith III氏は、リブート版「ミュータント・タートルズ」のエグゼクティブ・プロデューサーとして知られる人物。現在は俳優マーク・ウォールバーグとともに、米国の子供向け番組「Captain Kangaroo」のリブート計画を進めている。IPのリブートやブランディングが得意分野の人物ということで、眠っているAtariのブランドをどう活かすのか気になるところである。なおアリゾナの建設作業は、現地の不動産開発会社True North Studioが担当する。
今回の発表文では、ゲーム市場におけるトレンドとして、長く親しまれているIPに関心が集まる傾向が見られ、Atari Hotelsはそうしたニーズに応えられる施設になると説明されている。ビデオゲームの原点であるAtariと、米国で好景気の宿泊産業を融合した、楽しくユニークな旅行先。先述したSmith氏は、「新しいホテルのコンセプトを考案したとき、Atariが最適な相手だと思ったのです。宿泊客に“モダンながらノスタルジックかつレトロ”な感覚を味わってもらうという、私たちの狙いを実現する上で、Atariブランドは最適なのです」とコメントしている。またGSDグループの創設者Shelly Murphy氏は「あらゆる年齢のゲーマーに向けて、究極の没入体験型エンターテインメントとゲーミング体験を届ける」と語っていることから、やはりゲーマーを主たるターゲット層としていることがうかがえる。
『Asteroids』『Centipede』『Pong』『RollerCoaster Tycoon』など、200以上のゲーム・フランチャイズを保有するAtari。近年では新型ゲーム機「Atari VCS」を製造したり(関連記事)、テスラの電気自動車内ダッシュボードでプレイ可能なゲームとしてAtariタイトルを追加したりと、ブランディング活動が目立つ。ゲーム関連企業による没入型エンターテインメントやライブエンターテインメント事業への進出は進んでおり、そうした流れと、米国で伸びている宿泊産業を組み合わせたAtari Hotelsは、近年のAtariにとって、もっとも野心的かつスケールの大きい一手といえるだろう。