米国にて50代以上のゲーマーが増えつつあるとのアンケート結果。VRやeスポーツ分野への関心も高まる
米国の非営利団体AARPは2019年12月、米国在住の50代以上を対象としたゲーム習慣・態度に関するアンケートの結果を公開(PDFリンク)。ビデオゲームを日常的に遊ぶ50代以上の米国在住者が年々増えつつあるとの結果を示した。AARPは、米国市民の老後生活の充実化を目指す団体であり、会員数は3800万人以上。影響力のあるロビー団体としても知られている。
本アンケートにおけるビデオゲームの定義は、PC/コンソール/モバイル/タブレットで遊べるインタラクティブなデジタルエンターテインメント。今回の報告によると、この3年間でビデオゲームを日常的に遊ぶ50代以上の大人が増えており、2019年にはアンケート対象者3775人のうち44%が「月に1回以上ビデオゲームをプレイする」と回答。2016年の38%から6%上昇している。上記の回答を選んだ者のうち47%はゲームをデイリーで遊ぶと回答しており、こちらの数字も2016年の40%から上昇している。なお平均プレイ時間は週5時間とのことだ。
ゲームを遊ぶデバイスとしては、73%がモバイルと回答。2016年の57%から大きく上昇している。一方でデスクトップ/ラップトップPCと答えたのは47%(同設問は複数回答可)。2016年の59%から下がっている。コンソール機で遊んでいると回答したのは13%のみだ。好きなジャンルとしては、49%がパズル/ロジックを、47%がカード/牌ベースのゲームを選んでいる。こちらも複数回答可の設問。アクションアドベンチャーやシューターが好きだと答えたのは、いずれも5%のみ。「月に1回以上ビデオゲームをプレイする」という広義のゲーマーとしてアンケートを取っていることもあり、カジュアルゲームを含むパズルやカードゲームの回答数が増える傾向にあるのだろう。
他の人と一緒にゲームを遊ぶと答えた者(全体の6.6%)のうち、過半数は配偶者や子供といった家族メンバーをゲームパートナーとして挙げている。ただ、子供/孫がいると答えた50代以上ゲーマーのうち、ゲームの購入や遊び方の学習について、子供や孫に助けてもらった/影響を受けたと答えたのは少数である。助けを得なくても十分にゲームを遊べるということだろう。なおプレイ中の会話は、あくまでもゲームに関する話題が多い傾向にあるようだ。
家族とのコミュニケーションツールとして機能していることがうかがえる一方、「ビデオゲームを遊ぶ理由」の設問では、76%が「楽しむため」、67%が「精神的な鋭さを維持するため」、63%が「挑戦したり問題を解くことが好きだから」、60%が「暇つぶしのため」、57%が「ストレス軽減のため」の項目を重視していると答えている。「家族と時間を過ごすため」の項目は24%と比較的低めであった。先述したように、他の人と一緒にゲームを遊ぶと回答した者の数がそもそも少なく、全体としてプレイ時間の大半はひとりで遊んでいるとの調査結果も出ている。
ゲームをプレイしないと答えたアンケート対象者のうち、半数以上は「自分はゲーマーではないから」と回答。テクノロジーが理解できないからプレイしないと答えたのは5%のみ(2016年には10%)。ゲームは若者がするものだからと答えたのは9%(2016年には22%)と、いずれも控え目。一見すると、3年前よりもゲーム/テクノロジーに対する理解が高まっているように思えるが、2016年のアンケート時には「自分はゲーマーではないから」という包括的な回答選択肢がなかったことから、単純には比較できない。
アンケートの結論として、50代以上のゲーマーの割合および消費額が増えており、米国だけで年間7000億ドル規模のマーケットがあるとAARPは推定。VRやeスポーツ分野への関心も高まりつつあるという。ゲームを遊ぶと回答した者のうち半数以上が、健康上のメリットから新しいゲームを試してみることに前向きであるとのデータや、広告効果に関する他社データも添えられており、確かな市場が存在するのだとアピールする意図も垣間見える。若い頃ゲームに親しんできた世代が、アンケート対象層として増えつつあるという要因もあるかと思われるが、いずれにせよ今後無視できない市場になってくることだろう。