Samsungはラスベガスで開催中のCES 2020にて、仮想キーボード「SelfieType」を発表した。「SelfieType」はスマートフォンのインカメラを使用した仮想キーボードで、十分な広さの平面があればどこでも使用できる技術だ。
世界最大規模の家電と技術の見本市であるCES 2020はアメリカ・ネバダ州ラスベガスで、現地時間で1月7日から1月10日まで開催される。2019年は17万人以上が来場し、出展社数は4500社を数える巨大なイベントだ。家電やAI、5G、8Kといった技術の展示も行われるが、ゲームに関しても多く発表がある。今年はソニーからはPS5のロゴが発表され、ASUSからはCESの開催前日にeスポーツ向け360Hzリフレッシュモニターが発表されるなど総合的な技術見本市となっている。
Samsung Global Newsroomによると「SelfieType」は物理的なキーボードを必要とせず、指を動かすだけで文字の入力ができる技術だ。スマートフォンを平面に設置し、その前方にキーボードがあるとみなして手を動かすだけで入力できる。SelfieType AIエンジンがカメラで捉えた指の動きを分析して、QWERTYキーボードのインプットとしてスマートフォンに伝達してくれるという仕組み。すでにレーザー投影式のバーチャルキーボードは商品化されているが、「SelfieType」は投影機が必要なくスマートフォンだけで完結していることが特徴。今のところ英語の入力のみに対応している。開発チームとしては今後ほかの言語にも対応していく予定だ。気になる入力精度についても、個別のユーザーのタイピングのスタイルに合わせて「SelfieType」をカスタマイズすることで改善していくということだ。さらに「SelfieType」の技術はスマートフォンだけでなく、タブレットやノートPC、さまざまなデバイスに応用できるという。
「SelfieType」はSamsungのC-Labプログラムで開発された技術。Samsungは2012から社内アイデアインキュベータープログラムのC-Lab(Creative Lablatory)を行っている。これはSamsung従業員の優れたアイデアを奨励し育成するプログラムで、CESに参加するのは今年で5年目となる。C-Labはこれまでにも、ASMR録音用の耳付きスマホケース(Engadget 日本版)やウエストを計測してくれるスマートベルト(Engadget 日本版)のような独創的な製品をCESで発表してきた。CES 2020では、社内向けのプログラムC-Lab Insideからは、「SelfieType」のほかにも、紙などのテキストをなぞることでデジタルの文書に変換してくれる蛍光ペン「Hyler」など、5チームが製品を展示する。Samsung社外向けのプログラムC-Lab Outsideからはスマートスピーカーとロボットペットの機能を合わせた「Circulus」を筆頭に4チームが展示を行う。
「SelfieType」はあくまでデモであり、商品化されるかは分からない。いままでのバーチャルキーボードは投影機を必要としていたが、スマートフォン以外に特別なデバイスを必要としないことは魅力的。スマートフォンでテキストを入力するストレスや、キーボードを持ち運ぶような不便さから解放してくれる技術になりそうだ。