米任天堂のレジナルド・フィサメィ氏が4月に引退。“レジー”と呼ばれ親しまれた陽気な社長
ニンテンドー・オブ・アメリカは2月22日、同社の社長を務めるレジナルド・フィサメィ氏が、4月15日をもって引退(retire)することを発表した。引退後は妻や家族、そして友人と過ごすという。後任はセールスとマーケティングを統括してきたDoug Bowser氏が務める。
フィサメィ氏は、数々のキャリアを積んだ後、2003年にセールスおよびマーケティングのエグゼクティブ・バイスプレジデントとしてニンテンドー・オブ・アメリカに入社。2006年5月には最高執行責任者に昇格。前任天堂社長である君島達己氏とともに、アメリカでの任天堂商品の市場開拓や販促に尽力した。入社当時はゲームボーイアドバンスやニンテンドーゲームキューブの時代を過ごし、ニンテンドーDSやWiiの爆発的な普及にも貢献していた。
フィサメィ氏の持ち味は、仕事の実務能力だけでなく、その存在感にある。プレゼンテーション能力が高く、カンファレンスなどでははっきりとしたわかりやすい言葉で、製品の魅力を巧みに伝えてきた。陽気な振る舞いも特徴で、“レジー”と呼ばれ人々から愛された。2007年のE3では『Wii Fit』を紹介する際に「My body is ready」と奇妙な表現をしたことから、同フレーズは爆発的な人気を呼び、ネットミームとして定着していた。氏の生み出す言葉には妙なインパクトがあり、ネットミームメーカーとしても親しまれた。
ニンテンドー・オブ・アメリカも「氏のマネジメントや陽気で力強い性格は、ニンテンドーDSなど革新的な製品を大衆に伝えファンに好かれるという点で、ニンテンドーDSのような記録的なヒットを生むことに貢献した」とその功績を強調している。またメディア対応もよく、そのサービス精神ゆえか時に“世に出ていない情報”を口にしコミュニティを騒がせることはあったものの、メディアとコミュニティともに根強い人気があった。庶民的で陽気、そして人間的。親しみやすいフィサメィ氏の存在は、売上増加に貢献しただけでなく、アメリカにおける任天堂というブランドを人々の身近なものにしたといえるだろう。
氏はTwitterなどSNSを通じて、ビデオメッセージを投稿。任天堂を好み、“レジー”と呼んでくれたファンたちと15年過ごせたことは本当に光栄で幸せだったと、感謝の言葉を述べている。健康やメンタルの状態も良いまま去れるといい、前出したネットミームを引用し「My body is still ready」と語り、氏のユーモラスな一面も覗かせた。また任天堂社長の古川俊太郎氏もまたプレスリリースを通じて、フィサメィ氏の功績に言及。ビジネスを良いかつ勢いのある状態し、去ることにも感謝を告げた。氏の引退を惜しむ一報で、後任であるBowser氏ともスムーズな引き継ぎができるだろうとしている。
Nintendo fans, Reggie has a message for all of you. Please take a look. pic.twitter.com/EAhaEl5oEJ
— Nintendo of America (@NintendoAmerica) February 21, 2019
後任を務めるBowser氏もまた、Bowser(英語名のクッパ)として親しまれてきた人物。Electronic Artsなどでグローバル・ビジネスに携わったのち、2015年5月にニンテンドー・オブ・アメリカに入社。セールスを担当する幹部として同社に貢献し、翌年にはマーケティングを含めて統括する上級役員へと昇格を果たしている。現在も好調を続けるNintendo Switchの、アメリカにおけるマーケティングとセールスを主導し貢献した人物であるとのこと。Bowser氏は、幼き頃はアーケードの『ドンキーコング』を遊んでいた、“情熱的でパワフル”な人物とフィサメィ氏は紹介している。
国内外ともに世代交代が目立つ任天堂。未来を見据え、組織構築や体制変更を着々と進めているようだ。