イマジニアは12月4日、『Fit Boxing』の全世界累計出荷及びダウンロード販売数を合わせた本数が50万本を突破したと発表した。2018年12月にゲームが発売されたことを考えると、1年をかけての達成となる。『Fit Boxing』は、実際のジムでも採用されているボクシングエクササイズが行える運動ゲームだ。Nintendo SwitchのJoy-Conが有するジャイロ機能を用いてフィットネスをしていく。
「ダイエット」、「体力強化」、「健康維持」など運動目的からプランを選択でき、気になる部位や、エクササイズ時間、ゲーム難易度なども調整可能。豪華声優陣が声をあてた、ボイス付きのインストラクターが寄り添うことにより、個別レッスンのような体験をしながら、リズムゲームのような楽しみ方ができる。
Nintendo Switch向けには、任天堂から10月に『リングフィット アドベンチャー』が発売され、同じエクササイズゲームの発売により、市場を食い合うという意味で、売上に影響が出ると予想された。しかしながら、実は『Fit Boxing』は『リングフィット アドベンチャー』が発売されてから、明確な上昇が見られるのだという。イマジニアの担当者に、その伸びについてお話をうかがった。
売上の伸びとしては、具体的には『リングフィット アドベンチャー』が発売された週の『Fit Boxing』の売上は、前週比120~130%だったという。その後も推移を維持して年末年始商戦を迎えているとのこと。伸び率が高まり、そのペースを保っている。つまり、『リングフィット アドベンチャー』と相乗効果が生まれているわけだ。なぜ相乗効果が生まれたのだろうか。担当者が考える理由は以下のとおり。
・フィットネス系というジャンルは近くても、ゲーム内容は明確な違いがあったこと。
・『Fit Boxing』のユーザーが『リングフィット アドベンチャー』を購入し両立してプレイしていることがSNS上で散見されたこと。また双方のプレイヤーがソフトを薦め合う動きも見られたこと。
・元々ゲームで運動することを求めるユーザーのため、他のソフトもチャレンジすることは自然ともいえること。
運動というジャンルが希少であるだけに、相乗効果が生まれ得る、というのが基本的な考えなのだろう。ユーザー間では、大きな特徴の違いとして『Fit Boxing』は有酸素運動がメインで、『リングフィット アドベンチャー』は筋力トレーニングがメインと評されている点は抑えておきたい。イマジニアとしては、『リングフィット アドベンチャー』の発売前は同作について、不安に思う部分もまったくないわけではなかったが、競合ではなく共存できると考えていたという。その予想は今の所当たっていることになる。
ちなみに『Fit Boxing』の売上における初動率は、今のところ3.5%だという。初動率は固定ファンが多いものは高くなりやすく、ジワ売れするタイトルは低くなりやすい。10%を下回れば十分すぎるぐらい初動率において、3.5%という数字が出ているのは、クチコミによる広がりが生まれているということだろう。今後同作の初動率は、さらに下がっていくことになる。
また売上の伸びが著しかったのは、正月太りが気になる年明けにねとらぼが記事を掲載したタイミングと、6月に1か月以上ゲームをプレイしたユーザーが平均で2kgの減量に成功しているという発表をした(※食事管理アプリあすけん併用時。同社調べ) タイミングだという。やはり、メディア露出が高まることが、売上につながるのだろう。そのほか、なお50万本突破 を達成できた理由について担当者に伺ったところ、以下の理由があげられた。
・フィットネス系のジャンルとしてはNintendo Switch で一番早く発売できたこと。
・ソフトの評価が高かったこと。“キツい”という評価がむしろニーズとマッチしていたこと。
・体験版という短いプレイ時間でも“キツい”ことが伝わったこと
・声優のニーズが高かったこと。
・SNSでの拡散が効果的に働いたこと。
いずれにせよ、『Fit Boxing』が同ジャンルのゲーム『リングフィット アドベンチャー』の追い風を受けているというのは、なかなか興味深い現象だろう。なお50万本突破 発表にあわせて、前出のあすけんを利用している『Fit Boxing』が、90日間のプレイで平均5.5キログラムの減量に成功しているという発表もなされている。90日以上継続をプレイする難易度や、食事管理自体の重要性も加味しなければならないが、『Fit Boxing』が減量と運動の促進に貢献しうるという点に疑いはない。『Fit Boxing』は『リングフィット アドベンチャー』と共に、今後も売上を伸ばしていきそうだ。
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