『デス・ストランディング』のMetacritic低評価ユーザーレビューが一斉削除。いたずらに利用され続けるユーザーレビュー
先月11月8日にPS4向けに発売された『デス・ストランディング』。配達を主軸とした前衛的なゲームデザインや人気俳優をモデルとした魅力的なキャラクターたち、そして奥行きのある物語などが高く評価され、ゲームの祭典「The Game Awards 2019」においては最多ノミネートを果たすなど、世界中から注目を集めるタイトルのひとつとなった。Metacriticのユーザーレビューにて、そんな『デス・ストランディング』のネガティブなユーザー評価が突如大量に削除されたようだ。海外メディアGameRevolutionなどがその詳細を報じている。
レビュー集積サイトMetacriticユーザーレビューにおける『デス・ストランディング』のネガティブ評価の大量削除については、redditユーザーargandg氏の投稿をきっかけに明るみに出ることとなった。同氏の報告によると、たった1日の間に約6400件もの低評価が削除されたという。実際に12月5日10時点でのMetacriticのユーザーレビューページを見てみると、ユーザーによるネガティブレビュー数は9526件。一方ポジティブレビュー数は8440件と、ユーザースコアにおいては低評価の数が高評価の数を1000件ほど上回っていたことが伺える。
しかしargandg氏曰く、その翌日12月6日に突如として低評価の数が2906件にまで激減したというのだ。ちなみに本稿執筆時点でのMetacriticにおける『デス・ストランディング』のネガティブレビュー数は3191件、ポジティブレビュー数は8822件と、低評価の占める割合は高評価の数の約3分の1程度。レビュー削除前と比較して、比率自体も大きく異なっていることが確認できる。
こうしたネガティブレビューの大量削除による影響は、ユーザースコアにも如実に現れることとなった。前出した12月5日時点でのMetacriticにおける『デス・ストランディング』のユーザースコアは5.1。ところがその翌日、レビューが大量に削除されると同時に、同作のスコアが7.4にまで上昇したとargandg氏は報告している。また氏は、約200の高評価とそれを上回る250ほどの低評価が毎日ユーザーから寄せられていたとも述べており、そうした差の積み重ねがスコアの低下を招いていたとの見解を示している。なお、本稿執筆時点で同作のユーザースコアは7.3をマークしている。
ではなぜ、Metacriticは突如としてネガティブなユーザーレビューを大量に削除したのだろうか。この件に関して、Metacritic はIGNに向けて声明を出したようだ。その内容によると、Metacriticは『デス・ストランディング』における複数のユーザーレビューが疑わしい活動であると判断したため、多くのネガティブ評価を削除したという。また、スコア操作の恐れがあるユーザー評価を深刻に受け止めているとも述べており、そのうえでスコアの公平性を確保するためのポリシーを定めているとのこと。つまるところ、『デス・ストランディング』に対する否定的なユーザー評価の多くがMetacriticの運営方針に反するものであったため、今回大量の低評価を削除するに至ったというわけだ。ちなみにMetacriticの利用規約には、ユーザー評価を事前告知なしに削除する場合があると明記されており、今回のケースはその規約に該当するのだろう。今年に入っては、『アストラルチェイン』でも同様のレビュー爆撃および削除がなされていた(関連記事)。なぜやたらと国産タイトルが標的になっているのか、その理由は定かではないが、愉快犯によるいたずらである可能性は高そうだ。
今回のargandg氏による投稿には、Metacriticのユーザーレビューシステムに懐疑的な目を向けるユーザーからのコメントが多数寄せられている。なかにはMetacriticにおけるユーザースコアは参考にならないと非難する声も。というのもMetacriticには、ユーザーがレビュー対象のゲームをプレイしたか否かを判別・表示する機能がなく、レビュー爆撃の影響を受けやすいという問題点があるという。また10段階で評価するMetacriticのレビューシステムは、作品を気に入ったプレイヤーとそうでないプレイヤー間で数値が極端に分かれる傾向にあると指摘するユーザーも出現。このシステムにより、スコア全体のバランスが崩れているといった声も上がっている。
なお今回のネガティブレビューの大量削除に関しては、数値のみの評価に向けておこなわれており、文章を伴うレビューは削除対象に含まれていないようだ。ともあれ、文章を入力せずとも作品の評価が可能なMetacriticユーザーレビューにおいては、恣意的な投稿が寄せられやすいのかもしれない。今後Metacriticには、大量の悪質な評価によって作品のスコア、しいては価値が左右されない、公平性ある環境づくりが求められることだろう。一方で、不当なレビューを寄せるユーザーが少しでも減ることを祈りたい。