北欧神話ARPG『RUNE II』販売元が、発売直後にスタジオを閉鎖した開発元を提訴。サポート継続に必要なアセットを引き渡さず


パブリッシャーのRagnarok Gameは12月5日、現在Epic Gamesストアにて販売中の北欧神話アクションRPG『RUNE II』に関して声明を発表。この中で同社は、本作を開発したHuman Head Studiosを相手取り訴訟を起こしたことを明らかにした。Ragnarok Gameは、『RUNE II』のためにHuman Head Studiosと投資会社ESDFが共同で設立した会社で、本作の販売元であり、ローンチ後のサポートやコンテンツ開発も担当している。

『RUNE II』は今年11月12日にローンチを迎えた。しかし、そのわずか2日後にHuman Head Studiosは、スタジオを閉鎖すると突然発表。スタッフはそのまま新たに設立したRoundhouse Studiosに移行し、Bethesda Softworksの傘下に入ることが明かされた。後述する訴状では、新スタジオは所在地が同じだと指摘されており、事実上看板を掛け替えた形のようだ。

しかし、『RUNE II』における長期的なパートナー関係にあるはずのRagnarok Gameは、これらの事実について事前に知らされることはなかったそうで、当時驚きと困惑のコメントを残している(関連記事)。今回の声明の中でも、Human Head Studiosはローンチ直後というもっとも大事な時期にプロジェクトを放棄することになるにも関わらず、事前に何の通告もしなかったと繰り返している。

結果的に『RUNE II』の販売と開発を一手に担うことになったRagnarok Gameは、今後も本作をサポートし、将来的なアップデートやDLC配信などもおこなっていく考えを示している。しかし、そのために必要な本作の最終ビルドのソースコードとアセットはHuman Head Studiosが保有しており、Ragnarok Gameは引き渡すよう繰り返し要求しているものの、その度に拒否されているという。同社は、『RUNE II』の販売契約をHuman Head Studiosと結んだあと、そうしたアセットの開発費用を負担しており、正当な所有者であると主張。そして、ほかに選択肢はないとして今回の提訴に踏み切った。

海外メディアPC Gamerが入手した訴状によると、Ragnarok Gameは、Human Head Studiosは『RUNE II』のアセットを“人質”に、不完全な成果物への支払いを求めていると主張している。本作の開発においては、当初は11段階のマイルストーンを設定していたが、開発の遅れなどにより23段階にまで増える結果になっていたという。両社のような関係の中でゲーム開発をおこなう場合、開発元はマイルストーンを達成するたびに成果を販売元に提出し、それに対する支払いを受けながら次の段階に進んでいく。しかしHuman Head Studiosは、Ragnarok Gameが承認しなかった成果物に対しても支払いを要求していたとされている。そうした見解の相違が、アセットの引き渡しを拒否する背景にあるようだ。

訴状ではそのほか、Bethesda傘下となったHuman Head StudiosあらためRoundhouse Studiosが、販売元であるRagnarok Gameの承認を受けることなく『RUNE II』のコードを書き換え、Epic Gamesストア版のビルドをアップデートしていることなどが主張されている。そしてRagnarok Gameは、アセットの引き渡しに加え、開発費の返還、最低1億ドル(約109億円)の損害賠償金を支払うよう求めている。

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Human Head Studiosは、スタジオ閉鎖を発表して以降沈黙を貫いており、今回の訴訟についても同じくである。また、Roundhouse Studiosとしての活動も現時点では公には確認できない。同スタジオの親会社であるBethesdaは前出の海外メディアPC Gamerに対し、本件についてのコメントを拒否したという。

一方のRagnarok Gameは声明の中で、『RUNE II』のサポートを継続することや、2020年にはほかのPCプラットフォームでもリリースすることを強調している。ただ本作の将来は、この訴訟の行方に大きく影響されることになりそうだ。