YouTubeがビデオゲームにおける暴力描写に関するポリシーを緩和。年齢制限を受けるコンテンツが減る見込み
YouTubeは12月3日、同サイトのポリシーを更新したことを発表した。該当するのはYouTubeのコミュニティガイドラインのうち、「暴力的で生々しいコンテンツに関するポリシー」の項目。ビデオゲームにおける「台本が存在する、もしくはシミュレートされた暴力的コンテンツ」は、ビデオゲーム以外の架空の暴力描写と同等の扱いを受けるよう、12月2日付けで変更された。
YouTubeは、現実世界での暴力と、映画やTV番組など台本のある架空コンテンツとしての暴力には違いがあると認識。そして後者の扱いを首尾一貫すべく、ビデオゲームに関しても映画やTV番組と同じ扱いをするのだと、ポリシー変更によって明確化した形となる。同等の扱いとなることで、年齢制限を受けることなく承認されるコンテンツの範囲が広がる。これまでの基準であれば、ビデオゲームの「台本が存在する、もしくはシミュレートされた暴力的コンテンツ」が理由で年齢制限を受けてきたコンテンツが、今後のアップロード分では年齢制限なく承認され得る。
ただし、ビデオゲームにおける暴力やゴア表現だけに焦点を当てた動画は、年齢制限を受ける場合があると説明している(四肢切断・斬首シーン、死体映像を集めた動画など)。「暴力的で生々しいコンテンツに関するポリシー」の「年齢制限のあるコンテンツ」項目には、「映像またはビデオゲームの中で最も刺激の強い暴力シーンのみが強調されているなど、暴力や残虐行為の画像を中心とする動画であるかどうか」が、考慮点として記載されている。
今回のポリシー変更は、あくまでもビデオゲームにおける暴力表現が対象。YouTubeで禁止されている、現実世界における暴力的な描写や、有害で危険な行為を助長するコンテンツを対象とした規制は変わっていない。今後も現実世界での暴力表現から視聴者を保護すべく、そうした暴力的コンテンツに関するポリシーについては厳重な態度を維持するとのことだ。
また、今回変更されたYouTubeのコミュニティガイドラインと、広告掲載に関するポリシー(広告掲載に適したコンテンツのガイドライン)は別の話。現状、暴力もしくは性的表現といった過激なシーンが多いゲームの動画は、広告表示による収益化が無効もしくは一部制限されやすい傾向にあり、その点は今回のポリシー変更では変わらない。
ただしYouTubeは、広告表示による収益化を改善すべく動いていると、今年11月に発信している(YouTube Creator Blog)。完全に不適切な動画と、ビデオゲームの暴力描写のように、広告制限判定されるが悪質ではない動画を見分けやすくした上で、後者の視聴者とターゲット層が重なる広告・広告主(たとえば、R指定映画を宣伝したい広告主)を呼びこみマッチングする取り組みだ。今回のコミュニティガイドラインの変更と、YouTubeによる広告収益化の改善策が順調に進めば、ビデオゲームを扱うコンテンツクリエイターの動画露出と広告収入の双方の向上が見込めるだろう。