『マイクラ』コミュニティから生まれたサンドボックスRPG『Hytale』は2021年発売予定。期待に応えるため開発規模を拡大へ

『マインクラフト』コミュニティから生まれたサンドボックスRPG『Hytale』は2021年発売予定。『Hytale』はコミュニティの期待に応えるため開発規模を拡大し、よりスケールの大きな作品に仕上げるという。

インディースタジオHypixel Studiosは11月27日、『Hytale』の開発ブログを更新。同作のリリース目標が2021年であることが明かされた。『Hytale』は2018年12月に正式発表された、ボクセルベースのRPG(関連記事)。『マインクラフト』の人気サーバーのひとつであるHypixelサーバーの運営チームが開発する作品ということで注目を集め、アナウンストレイラーの再生回数は現時点で5000万回を超えている。

同作は「アドベンチャー」「ミニゲーム」「ツール」の3つを柱とした作品であり、プレイヤーは渓谷やダンジョンなどが自動生成された広大なファンタジー世界を冒険。危険なモンスターが生息するマップを探索しながら、複数のシナリオを追っていく。『マインクラフト』から強く影響を受けているだけあって、冒険家としてプレイするだけでなく、ひとつの場所に定住し、建築や農業をしながらまったり暮らすこともできる。協力プレイにも対応。

またプレイヤーがゲーム内で新たなミニゲームやメカニクスを制作できるよう、豊富なツールが用意される。ブロックビルディングはもちろんのこと、モデリングやアニメーション作成、マシネマ向けの映像制作ツール、ゲーム内スクリプティングツールまで幅広く揃えられる予定。このように『Hytale』はファンタジー世界の冒険とクリエイションの2つに焦点をあてた作品であり、オンラインマルチプレイによってみんなと遊びを共有できることを強みとしている。Hypixelによる『Hytale』公式サーバーもしくはコミュニティサーバーの両方に対応するという。

『Hytale』の開発者ブログはここ数か月ほど更新が途絶えていた。久しぶりの更新となる今回のエントリーでは、その理由と、今後の展望について語られている。まず2019年は大きなチャンスが訪れたと同時に、複数の大きな挑戦に直面した1年でもあったと振り返り、ファンと包み隠さずコミュニケーションを取りたくても取れないことが多かったと説明している。予期せぬ出来事により計画の変更が余儀なくされ、ブログの更新を延期せねばならなかったのだと。

先述したように、本作の発表トレイラーは5000万回再生を達成。記事や動画でも多く取り上げていった。そうしたゲームに対する熱狂的な反応が全てを変えたという。Hypixel Studiosは『マインクラフト』のサーバー運営チームとして始まったスタジオであり、オリジナルのゲーム開発としては『Hytale』がデビュー作。決して実績のあるチームではない。ゆえにコミュニティの熱狂ぶりは嬉しい反面、不安を高める結果にもなったとのこと。

『Hytale』は野心的なプロジェクトとして始まったが、コミュニティの反応によりゲームの期待度はより一層高くなった。開発チームとしては何としても期待に応えたいという想いがあり、本当に正しい方向に向かっているのか見つめ直すため、一度立ち止まり再考したという。ブログでは具体的な名前こそ出されていないが、「超期待作」と呼ばれた過去の作品たちを襲ったリスクはしっかりと認識していると説明。力強い第一印象を残すチャンスは1回しかないのだと、高クオリティの状態でリリースを迎えたいという強い意志を覗かせた。

とはいえ、多大な注目を集めたことで、非常に恵まれたポジションに立つことができたことには喜びを見せている。新設スタジオとしては、特に恵まれた環境だ。結果的にゲームエンジンからツール、企業経営など、さまざまな面で当初の計画よりも野心的に取り組めるようになったと述べている。ゲーム業界内での認知度が上がったことで、スタジオとゲームの両方にとってプラスとなるようなパートナーシップの締結を目指すことが可能になったとも。そうして視野が広がったことで、チームとして成すべきことは大幅に増加。現在のプロジェクトのスケールを踏まえると、発売時期は2021年になるだろうと伝えている。

さらに、これまでは開発段階のゲームを早く見せすぎることを恐れていたようだが、もっとオープンに情報を開示して欲しいと考えている方もいるだろうとのことで、今後は開発途中のコンテンツをより多く公開していく予定だという。公式サイトでは早速、ゲームエンジンのアップグレードにより実現したリアルタイムでの影描写、水エフェクトの向上などが紹介されている。同日には、新しいバイオームや、農業機能に関する情報も発信された。

ゲームの中身に関する情報を公開していく一方で、ベータテストの時期や対応プラットフォーム、ビジネスモデルといった情報は、残念ながらまだ発信することはできないとも説明。また今回話した内容もあくまで「計画」であり、プロジェクトやチームのことを考えて変更する可能性があることは留意してほしいとも伝えている。なんでもできるボクセルベースのRPGとして注目を集めた『Hytale』。開発規模を拡大していくとのことで、無事2021年にローンチを迎えられることを期待したい。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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