『Anthem』は見捨てられていないとの報道。根本から作り直すべく、大規模な改修が進行中と伝えられる


Electronic Artsより今年2月に発売され、ローンチやアップデートのつまずきによって、高い評価を得ることができていない『Anthem』。アップデートはスケジュールに遅れが出たのち計画そのものの見直しがはかられており、リードプロデューサーやライブサービス責任者といった主要スタッフがBioWareを退社しプロジェクトを抜けるなど、開発が停滞していることをうかがわせる。そんな状況下でも制作陣は同作を諦めていないという情報が出てきている。『Anthem』の制作状況や開発元BioWareの内情を伝えてきたKotakuのJason Schreier氏が報告している

Schreier氏が複数のBioWareのスタッフに聞いたところによると、現在同作は大規模な作り直しがはかられているという。内部では、「Anthem 2.0」や「Anthem Next」と呼ばれているのだとか。詳細な内容については流動的であり、明確なスケジュールはないようで、一度のアップデートなのか長期的な取り組みなのかも不透明だという。ただ、『Anthem』のミッション構造やルートシステム、そしてワールドマップが大きく変えられる計画のようだ。クエストやソーシャル要素、難易度や進行システムなど主要部分もテコ入れされる予定だという。現在の『Anthem』のワールドはひとつの切れ目のないマップであるが、このマップをセグメント分けすることで、ワールド全体に影響を及ぼすバグやグリッチの発生を心配することなく調整できるとも。またひとりのスタッフは、ミッションが終わるごとにフォートタルシスに戻る必要性についても見直していると話している。分断された要素をひとつにできるように取り組んでいるようだ。

この改修によって生まれる作品はどのような形態になるかも決まっていないようだが、新作にする案も含め、多岐にわたる可能性が検討されているとのこと。ただし、Schreier氏は、現在『Anthem』を所持しているプレイヤーにフルプライスの金額を払わせることにはならないだろうともコメントしている。世界観についても残されるようで、あくまで改修はゲームプレイを主にしたものであるようだ。

まだまだ先行きは不透明であるが、Schreier氏はBioWareが『Anthem』を諦めていないことは確かであると言い切っている。放棄されたと見なされることもある同作であるが、大勢とはいわないまでも、テキサス州のAustinと、カナダ・アルバータ州のEdmontonにある各BioWareスタジオの開発者が静かにゲームの改修を進めているそうだ。開発チームは数か月にわたりゲームをバラバラにし、何を根本的に変えなければいけないかを理解しようとしているという。そしてその再構築には既に数か月を費やしてきているとも。

なおSchreier氏は以前よりBioWareのAustinスタジオとEdmontonスタジオが緊張状態にあることを報じていた。EdmontonとAustinスタジオのライブゲームへのアプローチ方法に相違があったという。ゲームリリース後に予定されていた、EdmontonスタジオからAustinスタジオへの引き継ぎも、ゆっくりと進んでいったとのこと。ただし現在は、共に『Anthem』の改修に取り組んでいるそうだ。

『新生FF14』や『No Man’s Sky』など、仕切り直しやアップデートによって立て直しに成功したタイトルの前例は存在する。とはいえ、一度ローンチに躓けば立て直すのは困難。失敗の烙印を押されたゲームが、汚名返上することは非常に難しい。情報の真偽は不明であるが、もし『Anthem』の立て直しがおこなわれているとするならば、その道のりは険しいものになりそうだ。