悲運の『ポケモンGO』プレイヤーを、トレーナー達がゲーム内で弔う。コダックに想いをのせて

Image Credit : Mike/Dallas

今月10月18日、アメリカ・ニューメキシコ州アルバカーキにて痛ましい事件が発生した。21歳の女性Cayla Campos氏が、車内にて恋人と共にビアンケッティ公園でゲームを興じている際に、強盗現場を目撃。ふたりは引き返そうとしたが、強盗は銃を発砲し、その銃弾はCampos氏の首に当たり、車は自宅周辺で衝突。女性は帰らぬ人となった。

21歳のCampos氏は、口腔外科医になるために歯科助手として働いていたという。そんな氏が楽しみにしていたのが『ポケモンGO』だ。日課である『ポケモンGO』をプレイするために、恋人と共に、さまざまなポケモンの巣があるというビアンケッティ公園を訪れていた氏。趣味の時間を楽しんでいる際に、強盗に出くわし命を落とすことになった。犯人はまだ見つかっていないという。『ポケモンGO』を開発・運営するNianticの広報も、Campos氏に哀悼の意を示し、その家族・友人を気遣うコメントを出している。

一方で、そんなアメリカ・ニューメキシコ州の痛ましい事件は、『ポケモンGO』プレイヤーが被害者であることから、センセーショナルに報じられることになった。総合ニュースメディアのほかにゲームメディアなどが取り上げられており、悲嘆に暮れる氏の妹が「バカげたゲーム」とコメントしたことから、『ポケモンGO』をプレイしていてから被害にあったというニュアンスをもって事件を報じるメディアも少なくない。また過去に『ポケモンGO』に関連した運転事故が世界中で発生している背景から、New York Timesなど大手紙も、トラブルとの関連性を指摘しているのだ。そんな中、コミュニティの一部は自分たちの方法でCampos氏を弔おうとしている。

きっかけとなったのは、友人のTwitterユーザーの呼びかけである。Campos氏と同じ街に住んでいたユーザーは、氏が『ポケモンGO』でコダックを愛していたと明かし、コダックに氏の名前をつけることで、追悼してほしいとコミュニティにお願いしたのだ。すると、SNS上に、氏のファーストネームであるCaylaの名がついたコダックの画像が大量に投下され始めた。

通常のコダックから色違いのコダック、そしてリトレーンされる前のコダック。さまざまなコダックを相棒として引き連れた『ポケモンGO』プレイヤーたちの活動報告が寄せられている。画像には、哀悼や悲しみなどさまざまな言葉が添えられている。TwitterやFacebookなどで、多種多様な「Caylaコダック」の姿が確認できるだろう。同じポケモンを愛するトレーナーが命を落としたことに、コミュニティは嘆き悲しんでいるのだ。氏は不運にも現実世界にはもういないが、ゲーム内ではコダックという形でしばらく残ることだろう。

『ポケモンGO』は世界中で多くのプレイヤーが遊んでおり、それでいて現実世界で移動することを促す位置情報ゲームであるということで、事件と関連させられやすい。実際、事件があった際にゲームをプレイしていれば、事件と『ポケモンGO』がまったくの無関係だと断言しづらい。しかしながら、多くのプレイヤーはトラブルとは縁なくプレイをしており、それでいて他人を思いやる心を持つ人々であることを、失念してはならないだろう。

改めて、Campos氏の冥福を祈るとともに、こうした悲劇が減っていくことを願いたい。