モバイル向け(と思われる)ゲーム『Comedy★Show!』公式Twitterは10月21日、同ゲームのサービスを終了すると発表した。『Comedy★Show!』は10月19日にサービス開始された(とされている)ゲームアプリだ。お笑い芸人育成ゲームとされており、15人の芸人たちの努力と成長の物語が描かれるという。サービス開始から2日で終了するという、なかなか壮絶な展開としてSNSで注目を集めているが、実は裏には真なる意図が隠されているようだ。
『Comedy★show』
サービス終了のお知らせ#maufes19 #コメショ pic.twitter.com/6nXQt8HLiE
— 【公式】Comedy★Show! (@come_sho_ten) October 21, 2019
『Comedy★Show!』の宣伝活動が始まったのは今年の8月。#コメショというハッシュタグをつけ、キャラのシルエットを映す画像を添付し、それらしいティザー投稿と共にアカウント運用が始まった。それから段階的にキャラクターの紹介がなされており、漫才コンビ「メロワッサン」や「自然公園」などが紹介されてきた。「たきのぼり」の錵宮龍にいたっては、のちのツイートで漢字の表記ゆれを訂正する丁寧な仕事っぷり。十分な宣伝活動を経て、10月19日のリリースに至った。サービス開始記念として初回10連+10連が無料で引ける特典付きであった。
いかにもそれらしいゲームアプリの広報活動であるが、実は謎めいた箇所は多くある。そもそも『Comedy★Show!』はどの会社によって運営されているかもわからない。Twitterには公式サイトのリンクはなく、ストアリンクもない。実はリリース時の画像にも不可解な点がある。右下には各ストアで配信をしていることを意味するアイコンが併記されているが、これは「Coogle Play」「Opp Store」なのである。
そして、サービス終了のお知らせに掲載された画像には、すでに回顧展の出展が決まっているとされ、場所として武蔵野美術大学10号館 413Aが案内されている。用いられているハッシュタグは、#maufes19。つまるところ、2019年度武蔵野美術大学芸術祭における展示の広報活動であったようだ。本件の関係者と思われるTwitterユーザーたえしろさん氏が、「新人芸人の育成がコンセプトの架空ソシャゲ『Comedy★Show!』がサービス終了し、それに伴い開催する回顧展という設定の展示をします」と舞台裏にてネタばらしをしている。
https://twitter.com/ROSYCHEEKBUNNY/status/1186663945949470720
たった2日で終了したモバイルゲームはあまり存在せず、そんな架空のゲームを回顧するという展示が存在し、その展示を広報するためにTwitter運用がおこなわれていたわけだ。当然、App StoreやGoogle Playで『Comedy★Show!』と検索しても、アプリが見つかるはずもない。
特筆すべきは、広報活動の巧みさだろう。決してクオリティの低くない芸人キャラ15人が用意されており、しかもそのキャラ設定は細かく作られている。キャラの漢字の訂正投稿や、リリース時における「初回10連+10連」サービス、独自のハッシュタグ作成、総じての洗練された“それっぽい”広報。2か月前からそんな投稿がされていれば、架空のゲームだと疑う視点が欠けてしまうのも無理はない。広報活動やモバイルゲーム展開についてずいぶん研究した努力の跡がうかがえる。アート面も含めた妥協なき試みは、さすが名門美術大学ムサビの展示といったところだろうか。ただし、巧妙すぎる情報に鵜呑みしてしまったユーザーにとっては、やや苦い想いの残る宣伝活動になったかもしれない。
今年もパンフレットの事前販売あります!!
10月16日〜18日の3日間、12号館で販売します。詳細は画像をチェック?⚠️ノベルティは事前販売では付きません。ノベルティ・グッズは当日販売のみとなります。ご注意ください!#maufes19 #mau #ムサビ #芸術祭 pic.twitter.com/m3rXnse0Z4
— 武蔵野美術大学 芸術祭 (@MAUgeisai) October 9, 2019
武蔵野美術大学芸術祭は、今月10月25日(金)から10月27日(日)にかけて、鷹の台キャンパスにて開催される。『Comedy★Show!』回顧展(入場料無料)以外にも、多岐にわたる展示がおこなわれるようなので、会場を訪れてみるといいだろう。