Nintendo Switch向け『幻影異聞録♯FE Encore』は、露出控えめの欧米版準拠に【UPDATE】

任天堂が2020年1月17日に、Nintendo Switch向けに発売予定の『幻影異聞録♯FE Encore』。移植される完全版は、表現規制が施された海外版が準拠になるのではないかと不安視されている。

任天堂が2020年1月17日に、Nintendo Switch向けに発売予定の『幻影異聞録♯FE Encore』。アトラスと任天堂がタッグを組み、Wii Uで発売されたRPGの移植作。世界観・システムともに丁寧に作り上げられており評価が高く、移植の発表は多くのファンを喜ばせたことだろう。歌やダンスといったパフォーマンスも特徴の同作であるが、来年発売される追加要素を含んだ移植版は、海外版が準拠になるのではないかと不安視されていることをNiche Gamerなどが報じている。発端となったのは、公式サイトのスクリーンショットの差し替えだ。

公式サイトでは、ヒロインのひとりである織部つばさが、持ち歌「Feel」をうたうアニメムービーシーンを収めたスクリーンショットが掲載されているが、実はこの画像は今年9月6日時点のスクリーンショットとは若干異なっている。9月6日時点では上半身はピンクの衣装のみを羽織っているが、現在公開中のスクリーンショットでは下にシャツを着ており、さらに黒色の衣装を羽織っている(ウェブアーカイブ)。衣装の構造的に考えると、現在のスクリーンショットでは、つばさの谷間が見えないようになっていると推測される。

左が差し替え前、右が差し替え後のスクリーンショット

変更されたつばさの衣装は、海外版を準拠としたものであると考えられている。というのも、2016年6月に海外向けに発売された(国内版から半年遅れ)Wii U向け『幻影異聞録♯FE』では、国内版からさまざまな変更が加えられていることが話題を呼んだ。たとえば、つばさ達がビキニを披露するシーンでは、露出の少ない専用衣装に変更されていたり、スカート衣装でアクロバティックをした際には、日本版では下着が見えていたが海外版では暗黒に。ウエディング調の衣装は、日本版では開けていた胸元が白の布で隠されている(Censored Gaming)。

Image Credit : 任天堂 / ResetEra
Image Credit : 任天堂 / Operationrainfall

もちろん、冒頭に述べたつばさの衣装も対象。日本版ではピンクの羽衣に、水着のような黒の小さなトップスをつけており、下半身も腰より少し下の位置にズボンを着用していた。海外版は、黒の衣装が羽織られており谷間をブロックする白の衣装がつけられている。下半身も、ズボンは腰の位置よりも上。設定自体も変更されており、16~18歳の登場キャラの年齢はそれぞれ日本版から1歳上昇しているほか、年齢の変化にあわせてテキストも大幅に変更されている。なお海外版は、国内版同様にさまざまなDLCが販売されているが、キャラが水着姿になる温泉DLCのみ未発売。

Image Credit : 任天堂 / Imgur
Image Credit : 任天堂 / Gamefaq

つばさの衣装の変更は、ある意味では海外版の象徴。つまるところ、Nintendo Switch向けの移植の国内版が、こうした表現変更された海外版準拠になったのではないかと危惧されているわけだ。昨今では、時代の変化に伴い、メーカーは表現についての配慮を求められており、結果的にはゲーム内表現が規制されることは少なくない。国内の規制については、暴力面では表現の配慮が強く求められるものの、性表現については欧米に比べると寛容であるといわれがちで、たとえば『CODE VEIN』のバスタオルDLCなども国内限定(Regional DLC)でのリリースとなっている。任天堂作品としては『ゼノブレイドクロス』では、13歳のリンの年齢と露出の扱いが国内と海外では異なっている(GameXplain)。

ちなみにもうひとつ、新作が海外版準拠になることを予想させる根拠がある。それは9月に公開されたトレイラーの22秒部分。オリジナル国内版では胸元をはだけさせていたインバースの胸部にエフェクトがかかっている。オリジナル国内版では、かかっていなかったこのエフェクト。このインバースの変更も、海外版で指摘された表現変更のひとつである。

Nintendo Switch向け『幻影異聞録♯FE Encore』は、すでにあらかじめダウンロード販売が開始されている。予約購入ができるマイニンテンドーストアに掲載されているスクリーンショットは、公式サイトとは別の画像であり、そちらは変更されていないので、アンフェアな販売をしているわけではない。ただし、オリジナルから表現が変更されているとすれば、そしてその変更が小さくないならば、予約しているユーザーにとって寝耳に水になり得る。『幻影異聞録♯FE Encore』国内版がどのような表現になるのが妥当かはさておき、表現変更が実際にされ、その内容が既存のファンに伝わるように宣伝されなければ、オリジナル版の評価や新要素の魅力を曇らせかねないだろう。

【UPDATE 2019/10/17 20:30】
マイニンテンドーストアの『幻影異聞録♯FE Encore』のページに、お知らせ項目が追加された(参考:追加される前のストアページ)。お知らせによると「本作はWii Uで発売された欧米版『Tokyo Mirage Sessions #FE』をベースに新規要素を追加した全世界共通の仕様です。」と記載されている。公式サイトでも同様の記述が確認されている。やはりNintendo Switch版は海外版準拠になるようだ。

【UPDATE2 2019/10/19 0:00】
任天堂は、『幻影異聞録♯FE Encore』が欧米版準拠であると認め、事前に告知する上で情報の不足および誤りがあったことを謝罪した。詳細はこちら

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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