『PAYDAY 3』は2022年〜2023年の発売を計画。資金難により経営再建中のStarbreezeが今後の見通しを報告
経営再建中のパブリッシャー/デベロッパーStarbreezeは10月11日、将来のキャッシュフローの見通しを投資家向けに発表した。この中では、リリースが不安視されている『PAYDAY』シリーズ最新作『PAYDAY 3』についても触れられている。
同社は2018年11月、同月にPC向けに発売した4人協力ゾンビサバイバルアクションゲーム『OVERKILL’s The Walking Dead』の売り上げが事前予測を下回ったことなどにより株価が急落。事業コストの見直しと削減を実施し、コアビジネスであるゲーム開発に注力する方針を発表した。しかし翌月には、資金難に陥る見通しが出たことで会社の再建手続きを地元スウェーデン・ストックホルムの裁判所に申請するに至った(関連記事)。
今回Starbreezeは、再建計画の履行完了を予定している2019年度下半期から2023年度下半期までのキャッシュフローの見通しを公開。それによると、2022年度上半期から急激に上向く予想となっている。この数字の根拠として同社は、まず『PAYDAY 3』の販売契約を2020年上半期に締結し、販売パートナーからの最初の支払いが同期におこなわれる見込みであることを挙げている。なお、これとは別に同作の開発資金も販売パートナーから提供を受けるとのこと。そして、『PAYDAY 3』は2022年から2023年の発売を計画していることが明かされた。
そしてもうひとつ、iOS/Android向けの『PAYDAY: Crime War』の販売契約についても2020年上半期に締結し、同じく分割の支払いが同期に入り、開発費も得る見込みだとしている。ちなみに、同作は現在Androidにてクローズドベータテストが実施中だ。なお、債権者への返済はこれらの契約とは別に再建計画の中でおこなうとしており、総額4000万スウェーデンクローナ(約4億4000万円)となる見積もりを出している。
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今回の発表の中でゲーマーにとって注目なのは、『PAYDAY 3』の発売予定時期が2022年あるいは2023年と示されたことだろう。同作の存在が最初に明かされたのは2016年のことだった。Starbreezeは、『PAYDAY』シリーズの権利を保有していたパブリッシャーの505 Gamesから、約33億円(当時)相当のクラスB株式にて同権利を買収。シリーズにおける今後のさまざまな展開を披露する中で、『PAYDAY 3』を開発すると発表した(関連記事)。
その後、2017年2月に正式に開発をスタート。ただ、開発を急ぐつもりはないとして、慎重に制作を進める方針を説明していた。同シリーズを手掛けてきたOVERKILL Softwareは、この間に『OVERKILL’s The Walking Dead』を開発・発売するが、先述したとおり親会社Starbreezeを存続の危機に追い込む結果となり、『PAYDAY 3』は本当に発売されるのか不安視されていた。なお『PAYDAY』シリーズの権利の買収時には、『PAYDAY 3』の開発やマーケティングにおいては505 Gamesと協力するとされていたが、今回の発表にある販売パートナーが同社のことを指しているのかは不明である。
まだStarbreezeの会社再建が果たされたわけではないため楽観視はできないかもしれないが、期待作への希望が持てる見通しが今回示された。『PAYDAY 2』は依然としてStarbreezeの稼ぎ頭であり、その続編やモバイル展開に会社の将来を託したとも言えるだろう。『PAYDAY 3』の開発状況については、2019年5月時点でもまだ初期の段階だとされており、どのような作品になるのかについては一切明かされていない。
*OVERKILL Softwareは、今年のエイプリルフールにバトルロイヤルゲーム『PAYDAY ROYALE』を発表し、健在であることをファンにアピール。
今回の発表の中では、現在進行中の再建計画の状況についても報告されている。それによると、Starbreezeのコアビジネスに関わる資産や人員は、新設したNew Starbreeze Publishing ABとNew Starbreeze Studios ABというふたつの会社に移管された。資産の大部分を占める『PAYDAY』シリーズを含むIPの管理は、New Starbreeze Publishing ABが担当するとのこと。その資産については国際的な会計事務所4社に評価を依頼し、16億スウェーデンクローナ(約177億円)相当であると報告。同社は、今後数日以内に債権者に説明をおこなったうえで、最終的な再建計画を提示するとしている。