『ポケモンGO』とある島で、突如ポケモン達が一斉に姿を消す。7か月以上の不在に住民たちは悲しみに暮れる

『ポケモンGO』ゲーム内で、ポケモンたちが消えてしまった島があるとして、話題を呼んでいる。その場所とは、ギリシャのサラミス島だ。7か月以上、ポケモンが自然な形で姿を表さないのだ。

『ポケモンGO』ゲーム内で、ポケモンたちが消えてしまった島があるとして、話題を呼んでいる。ギリシャのサラミス島。アテネの海岸から15キロ以上離れた、4万もの人々が住まうビーチと港がある美しい島。『アサシン クリード オデッセイ』にも登場したこともあるこの島では、突如としてポケモンが消えてしまい、島の住民がその苦しみをRedditなどで訴えているという。PolygonEurogamerがその内容を伝えている。

Image Credit : Wikiepdia

『ポケモンGO』といえば、現実世界と連動した位置情報ゲーム。現実の地図をベースとしており、ゲーム内に登場するポケモンをゲットする楽しさがある。世界各地で遊べるグローバルなゲームであり、地域格差はあれど、さまざまなエリアの人々がプレイ可能だ。ギリシャのサラミス島でもユーザー達の『ポケモンGO』の活動は盛んであったといい、ポケストップなどもいくつも設置されている。気候と立地の関係でサボネアに大量に出ることから、サボネアに汚染されているというジョークが流行っていた平和な島。しかし今年3月、そんな人々の楽しい『ポケモンGO』ライフは突如終わってしまったという。

というのも3月のアップデートをきっかけに、かつて頻繁に出現していたポケモンは、姿を消してしまった。ポケストップはそのまま残っており、ルアーモジュール(ポケモンを呼び寄せる希少アイテム)を設置することでのみ、ポケモンが姿を表すという。“自然に”生息しているポケモンは、島にはもはや存在しないのだ。こうした状況に危機を感じたRedditユーザーLemery69氏は、『ポケモンGO』を運営するNianticに対して、スクリーンショットを添付し改善を求めて働きかけをしているが、得られるのは自動返信のみで7か月放置されたまま。同社はメディアからの問い合わせについても、返答していないという。

島の様子 Image Credit : Lemery69

そんな状況でも、地元のコミュニティの人々は『ポケモンGO』を楽しむことを諦めていなかった。ポケコインで購入しルアーモジュールが使われることもあるほか、サラミス島から離れて旅行にいった人々が、島に帰ってきた時にレアモンスターを仲間たちに配るといった活動もあるそうだ。ゲームにすでにお金をかけたプレイヤー、そして外に出る金銭的余裕のない若いプレイヤーらのために、交換を介した助け合いなどもおこなわれているのだ。多くの人々がプレイをやめてしまったが、諦めない人々もいるようで、『ポケモンGO』を介して知らない者同士であった島民は仲良くなり、絆を深めあっている。ただし、ルアーモジュールの効果は一時的であるほか、多くのポケモンを呼び寄せるわけではなく、ポケモンが登場しない時すらあるそうだ。唯一のポケモンを発生させる手段も、恒久的な解決には決してなりえない。Nianticが問題に取り組まなければ、こうした絶望的な状況は改善されないだろう。

なぜサラミス島からポケモンが消えてしまったのか。ひとつ、有力な説がある。『ポケモンGO』のバックエンドにおいては、2017年12月からOpenStreetMapが採用されている。OpenStreetMapとは、編集機能のある世界地図を作る共同作業プロジェクト(公式サイト)。おおまかなエリアの特徴などはユーザーに編集された地図データなどにより決定しているわけだ。このデータに基づき、ポケモンが湧き出るポケソースが生まれるという仕組みであるとされている。

Eurogamerによると、サラミス島は「natural=bay」にタグ付けられている。「natural=bay」は湾など水域を指し示すタグ(OpenStreetMap Wiki)。このタグがついたエリアは、内側にはポケモンが登場しなくなるという。OpenStreetMapのデータがアップデートされ、このタグがついてしまったことで、『ポケモンGO』においてサラミス島は、自然地域もしくは水域と認識されポケモンが出ない環境になってしまったとのこと。タグが消され、OpenStreetMapのデータが更新されない限り、永劫サラミス島にポケモンは出現しないとも。ただし、すでにOpenStreetMapから「natural=bay」タグは消されており、Nianticがデータ更新をかければ修正されるようだ。
【UPDATE 2019/10/12 15:30】
現在の状況について追記

なお、「natural=bay」とタグ付けされたのはサロニコス湾全体であり、サロニコス湾に含まれているサラミス島のほかに、アイギナ島やアンギストリ島、そしてポロス島の住民も、ポケモン消滅という憂き目にあっているようだ。この訴えかけはRedditのr/TheSilphRoadで注目を集めており、より多くのNianticのスタッフに耳に届いていることだろう。多くのユーザーが、島のプレイヤーを応援している。ポケストップのみが残されたギリシャの美しい島々に、ポケモンたちが帰ってくることを祈りたい。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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