ActivisionがマルチプレイのNPCに関する特許を出願。人間との見分けをつき難くするため、プレイヤーのあらゆる情報を収集して利用

『Call of Duty』シリーズなどを展開するActivisionが、ゲームのマルチプレイで利用するNPCに関する特許を出願し、その内容が一般に公開されていたことが明らかになった。マルチプレイにおけるNPCを形作るためのシステムや手法の特許。

『Call of Duty』シリーズなどを展開するActivisionが、ゲームのマルチプレイで利用するNPCに関する特許を出願し、その内容が一般に公開されていたことが明らかになった。海外メディアPCGamesNなどが報じている。

その特許のタイトルは「System and Method for Transparently Styling Non-Player Characters in a Multiplayer Video Game」、マルチプレイにおけるNPCを形作るためのシステムや手法とのこと。この技術においては、たとえば試合でのプレイヤー数や使用キャラクターのクラス、購入したゲーム内アイテムなど多岐にわたるゲーム情報を擁するゲームプロフィールに基づいて機能するマッチングエンジンなど、多数の要素が関わっている。その中でも、海外メディアやゲーマーの間では、特にNPCの作成に直結する「プレイヤープロフィール(Player profiles)」の内容について注目が集まっているようだ。

まずこの技術の目的は、実際の人間のプレイヤーかCPUプレイヤーなのか区別がつきにくいNPCを生み出すことだとしている。そうでないNPCをゲームで使用した場合、特にスキルの低いプレイヤーはNPCとプレイする中でフラストレーションを抱えたり、本当のマルチプレイゲーム体験を楽しめていないと感じ、ひいてはそのゲームをプレイし続ける意欲も削がれてしまうとのこと。

では、なぜプレイヤーは特定のキャラクターが人間ではなくNPCであると気づくのかというと、もちろんゲーム中の立ち回りから感じ取ることもあるだろうが、別の要素としてプレイヤー名などゲーム画面に表示される基本的な文字情報が、実際の人間の特徴とは異なる、言い換えると特徴や個性が見られないため気づくのだそうだ。そこでプレイヤープロフィールが利用されるという。

プレイヤープロフィールは、プレイヤーの属性を情報化したものから生成される。その情報には、プレイヤー名(ゲーマータグなどの表示名)や、どのようなゲームプレイスタイルやクラスを好むのか、またセッションごとのプレイ時間、ログイン中にプレイしたセッション数、使用・購入したゲーム内アイテム、勝敗の記録、クランに加入しているのかフレンドとプレイすることを好むのかといった傾向などがある。さらに、プレイヤーの居住地や性別、所得水準などの個人情報に関わるものまで挙げられている。

この技術においてはAIエンジンを利用し、NPCのゲームプレイ中の挙動などを人間のそれに似せることもおこなう。そうした技術はすでに実装例もあるが、それに加えてプレイヤープロフィールの情報を利用し、あたかも人間のようなプロフィールを作成しゲーム画面に表示させることで、プレイヤーは対戦相手がNPCであると気付きにくくなるという。確かに、自然なプロフィールを生成し表示できれば効果的であるように思える。ただ一方で、NPCのためにプレイヤーの個人情報をも使用するという点は議論を呼びそうだ。

もっとも、特許を出願したからといってこの技術が実際に使用されるかどうかは別の話。また、ゲームに限らず個人情報はすでにあらゆる場面にて収集・活用されているため、Redditなどでは驚きには値しないという意見も見られる。Activisionは過去に、マッチングを操作したりゲームプレイ配信を利用してゲーム内アイテムの購入を促すための特許を申請していたこともあり、前者はゲーマーの心理に働きかけることで購入を促そうという技術だった(関連記事)。今回の特許も、NPCを通じて心理面に働きかけ、ゲームプレイを継続してもらうというものであり通じるものがある。これらの特許情報は、大手メーカーが収益を高めるためにどのような試行錯誤をしているのかを垣間見えたようで興味深い。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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