スペースSTG『EVERSPACE 2』は“Epic Gamesストア独占にはならない”と開発元が約束。ゲーマーからの信頼低下を危惧しあえて明言

インディースタジオのROCKFISH Gamesが、『EVERSPACE 2』の開発費を募るKickstarterキャンペーンを現在実施中だ。そんな中、開発元が『EVERSPACE 2』がEpic Gamesストア独占にはならないことをあえて強調しており、海外にて話題となっている。

インディースタジオのROCKFISH Gamesが、スペースシューティングゲーム『EVERSPACE 2』の開発費を募るKickstarterキャンペーンを現在実施中だ。同スタジオは前作『EVERSPACE』でもKickstarterを利用しており、10月6日にそのキャンペーンページにて新たなプロジェクトを当時の出資者に紹介。その中で、『EVERSPACE 2』はEpic Gamesストア独占にはならないことをあえて強調しており、海外にて話題となっている。

ROCKFISH Gamesは、2015年に実施した前作『EVERSPACE』のKickstarterキャンペーン以来状況はかなり変化し、デベロッパーに対するゲーマーの信頼はかつてなく低い状態にあると言っても過言ではないと述べる。その理由として、Kickstarterにて出資を受けたタイトルがEpic Gamesストア独占販売となるケースにおいて、インディー開発者から大手パブリッシャーまでが、(出資者との)約束を破っているからだと指摘した。

同スタジオは具体例は示さなかったが、クラウドファンディングにおいてSteamにて販売するとして出資を募っておきながら、Epic Gamesストアでの時限独占販売に変更してローンチし、出資者が発売日にSteamキーを受け取れないという事例を指しているのは間違いないだろう。これまでには、たとえば『シェンムー3』や『Outer Wilds』などがSteamからEpic Gamesストアの販売に変更しており、出資者からは批判が殺到した。出資者の了解を取ることもなく事前に提示していたリワードの内容が覆されるとあっては、信用されなくなるのは自然。

『EVERSPACE 2』についてROCKFISH Gamesは、何が起ころうがSteamにて最初に発売すると宣言。当Kickstarterキャンペーンでの30ユーロ(約3536円)以上の出資者に、本作の早期アクセスに参加できるSteamキーの提供を約束している。正式リリース時には、Epic GamesストアやGOG.comでも販売するとのこと。

海外メディアGamesIndustry.bizの取材に応じた同スタジオによると、Unreal Engine 4を採用していることもあってか、本作についてEpic Gamesと何らかの協議をおこなっていた事実はあると認めている。その中では、Epic Gamesストア独占販売に関する話題もあったようだが、同スタジオはまともに検討することすらしなかったという。その理由として前作の存在を挙げている。

前作『EVERSPACE』。PCのほか、PS4/Xbox One/Nintendo Switchにも移植された

前作『EVERSPACE』でも、Steamでの早期アクセス販売を通じて開発を進めた経緯がある。そのため、同作のもっともコアなファンはSteamにおり、各コンソール版も販売されている現在においても、利益の半分以上はSteamから得ている状況だという。ROCKFISH GamesのCEO Michael Schade氏は、Steamは『EVERSPACE』シリーズにおける“ホーム”であると表現している。

Schade氏は、Unreal Engineを提供するEpic Gamesがいなければ同シリーズは存在しなかったが、これはSteamにも同じことが言えると述べる。そして、そのホームにいるファンが望まないことは、同スタジオとしてもしたくはないとし、『EVERSPACE 2』においてもSteamを優先する背景を語っている。本作のSteamの掲示板では、Epic Gamesストア独占販売になるのではないかと疑うファンに対し、同スタジオはSteam向けに発表したためSteamでリリースすると回答。ファンからは歓迎する声が多数寄せられ、同スタジオは信頼に感謝するコメントを残している。

またSchade氏は、早期アクセス販売をおこないながら本作の開発を進めるには、フォーラムを含めインフラ面などに多数の機能がストア側に必要であるとし、『EVERSPACE 2』にとってはEpic Gamesストアは単純に機能が足りないともコメントしている。

Epic Gamesストアでの(時限)独占販売においては、Epic Gamesから資金提供があるとされ、またUnreal Engine 4採用タイトルであれば、そのライセンス料の負担も減らすことができる。『シェンムー3』などのケースでは、Kickstarterキャンペーン時にはEpic Gamesストアは存在していなかったという事情もあるが、出資者の意見を無視したストア変更は批判されることから逃れられない。そうした事例がいくつか続いたことで、上に挙げたように、Steam向けに発表されたとしても疑いの目で見るファンは、ほかのタイトルでもよく見かけるようになった。そのためROCKFISH Gamesは、今回あえてEpic Gamesストアでの時限独占販売はしないとコメントしたのだろう。

なお、『EVERSPACE 2』のKickstarterキャンペーンは現在も進行中で、本稿執筆時点で残り27日。約5300万円の初期目標金額に対し、約1900万円が集まっている状況である。初期目標金額を達成した場合、2020年9月にSteamにて早期アクセス販売を実施し、2021年にPS4/Xbox One版と共に正式リリースする計画となっている。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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