次世代PlayStationはスタンバイ時の電力消費を大幅削減、MSはカーボンニュートラルのXboxを試験製造へ。環境への取り組みが報告

 

アメリカ・ニューヨークの国連本部にて9月21日から開催されていた「国連気候行動サミット2019」に合わせ、地球温暖化を含む気候危機に対しゲーム業界として「Playing for the Planet」という名のもと活動することが発表された。国連のUN Environmentが主導するPlaying for the Planetには、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)やマイクロソフトといった、いくつかの主要メーカーが参加している。

SIEの社長兼CEO Jim Ryan氏はPlayStation.Blogにて、天然資源管理への責務について大変重要視しており、それは国連のミッションと目的にも沿っているとの認識を示している。SIEでは、消費電力の低減を目的に、これまで実質的なコミットメントと継続的な努力を重ねてきたという。

PlayStation 4においては、ハイパフォーマンスなグラフィックプロセッサーを採用するSoCの設計や、半導体チップのシュリンク、パワー・スケーリングなどの効率化を促す技術の採用や、Suspend-to-RAMに代表されるさまざまな省エネルギーモードを搭載することで消費電力を低減したという。現時点では、CO2総排出量を1600万トン近く削減。今後10年で2017年時点におけるデンマークのCO2総排出量と同量の、2900万トン相当の削減を達成できるとの見込みを示している。

そしてRyan氏は、次世代PlayStationにも言及。スタンバイモード時の電力消費をPS4よりも更に低く抑えられる可能性があり、約0.5Wを達成する見込みであるとした(ユーザー報告によると、PS4では3W前後だとされている)。この場合、もし100万人がスタンバイモードを利用すると、アメリカの1000世帯分に相当する電力使用量を削減できるとのこと。

このほか、SIEが提供するゲーム関連サービスにおける二酸化炭素排出量や、データセンターで採用しているエネルギー効率化施策について国連に報告。消費者向けにはコンソールのエネルギー効率を高める設定・使用方法について理解促進を図るとしている。また、サステナブルなテーマに関するゲームの開発において、デベロッパーを含めた業界関係者や気候変動の専門家との連携及び支援に注力し、気候変動問題への意識・関心が高まるようなPS VR向けアプリの制作の可能性も検討するとのこと。

マイクロソフトは、2012年からカーボンニュートラル(二酸化炭素などの温室効果ガスの排出と吸収がプラスマイナスゼロのこと)を意識した地球温暖化対策に取り組んでおり、100社を超えるトップサプライヤーと協力しながら、2030年までに二酸化炭素排出量を少なくとも30パーセント削減する、グループとしての新たな目標を報告。この取り組みの一環として、82万5000台のXboxコンソールを試験的にカーボンニュートラルにて製造するとした。これはゲームコンソールとしては初めてのことだという。そして、同社のデバイスに関連する将来の二酸化炭素排出量の中和・削減についても、すでに取り組んでいるとのこと。

Playing for the Planetにはこのほかにも、Google(Stadia)やUbisoft、Supercell、Rovio、Niantic、Twitchなど数多くのゲーム関連企業が参加。ゲームを通じた啓蒙活動や、そうしたゲームを開発するスタジオへの支援など、各々の取り組みを表明している。