全盲のゲーム実況者、『オーバーウォッチ』のカスタムゲームでプレイオブザゲームを獲得。コメントの力を借り、視聴者と二人三脚で小さな活躍
『オーバーウォッチ』で、全盲のTwitchストリーマーが、プレイオブザゲーム(選手投票によるその試合のMVP )を獲得したことをDexertoが報じた。BlindlyPlaying氏は『World of Warcraft』などのゲームを配信している全盲のTwitchストリーマー。9月17日の配信では『オーバーウォッチ』をプレイして、イージーBOTのカスタムゲームではあるが、連続キルを決めてプレイオブザゲームを獲得した。
全盲のストリーマーBlindlyPlaying氏は9月17日の配信では『オーバーウォッチ』を初めてプレイし、AI戦ではトールビョーンをピックして遊んでいた。プレイオブザゲームのクリップでは、BlindlyPlaying氏のチームは防衛側で試合はオーバータイムに突入していた。BlindlyPlaying氏がトールビョーンのアルティメットスキル「モルテン・コア」を発動すると、5連続キルが発生し拠点の防衛に成功。一つ目のクリップのあともBlindlyPlaying氏は好調なプレイを見せ、トールビョーンを使って計4回プレイオブザゲームを獲得した。
BlindlyPlaying氏は『World of Warcraft』をメインに遊ぶTwitchストリーマーだが、FPSゲームをプレイするためにはTwitchのコメントを利用している。ゲーム用のPCとは別にノートPCを用意しており、ノートPCの読み上げソフト(スクリーンリーダー)でTwitchのコメントを読み上げている。コメントに視聴者が「右に行って」とか「ジャンプして」と指示を書き込むことで、BlindlyPlaying氏は今行うべき操作が分かるということだ。操作キャラもタレットで自動攻撃できるトールビョーンを使い、安定した火力を出している(動画のリンク)。
BlindlyPlaying氏は『オーバーウォッチ』をプレイしたのはこの配信が初めてで、9月16日にRedditの『オーバーウォッチ』のコミュニティで全盲のプレイヤーがプレイするためのアドバイスを求める投稿をしていた。この投稿には全盲の人間がゲームをできるはずがないといった返信もある一方、ゲームのルールを丁寧に説明するユーザーもいた。あるユーザーはピックするべきヒーローとしてモイラやブリギッテ、ウィンストンといった精密なエイムを必要としないヒーローを勧め、タンク/サポート/DPSのロールを解説しており、BlindlyPlaying氏はこれらのアドバイスを読み上げソフトで確認して実行していったのだろう。
ところで、氏は普段遊んでいる『World of Warcraft』をどのようにプレイしているのだろうか。Dexertoによると、BlindlyPlaying氏は弱視だった時は『World of Warcraft』をプレイしていたが拡張パックの『Cataclysm』が2010年に配信されたタイミングでプレイをやめていたようだ。全盲になってからプレイを続けるか悩んでいたそうだが、2018年の拡張パック『Battle for Azeroth』から復帰したという。その際視覚障害者が『World of Warcraft』をプレイするためのガイドをRedditへ投稿しており、導入するべきアドオン(拡張機能)について詳細に解説している。
主にアラート音を出すアドオンおよび、ゲームのパラメーターの数値を表示するアドオンとスクリーンリーダーを組み合わせてプレイしているようだ。『World of Warcraft』は配信のコメントに頼らずに仲間とコミュニケーションを取りつつ、音声情報のみでかなり快適に遊べているように見える。ただしBlindlyPlaying氏は全盲の状態でゲームを始めることは難しく、視力があったころのゲーム経験があるからこそプレイが可能であるとも補足している。