閉鎖したTelltale Gamesのブランドを買収した企業が、旧作の販売や新作アドベンチャーゲームを開発へ
昨年閉鎖したTelltale Gamesについて、そのブランドやアセットを買収したLCG Entertainmentなる企業が、同スタジオの過去作の販売や新作の開発を計画していることが明らかになった。海外メディアPolygonなどが報じている。
新生Telltale Gamesとも言うべきスタジオを立ち上げるLCG Entertainmentは、モバイルゲームを主に開発するGalaxy Pest ControlのCEO Jamie Ottilie氏と、マイクロソフトなどでマーケティングを担当した経歴を持つBrian Waddle氏が率いる企業。いずれも業界のベテランではあるが、これまでTelltale Gamesと直接の縁はない。ただ、この業界にはナラティブ主導のアドベンチャーゲームを手掛けるスタジオが必要だという考えから、パブリッシャーのAthlon Gamesをパートナーとし、6か月前から権利の買収交渉をおこなっていたという。
Ottilie氏によると、『The Wolf Among Us』や『Batman: The Telltale Series』といったライセンス作品や、『Puzzle Agent』などのオリジナル作品の権利をすでに保有しており、ライセンス切れになっている作品についても注目していると述べる。こうした作品の販売をおこなうことがビジネスの柱のひとつとなるようだ。
また、Telltale Gamesの過去作に関連した新作や、新たなライセンス作品についても手掛けるとのこと。デザインや技術開発はスタジオ内でおこない、アニメーションやモーションキャプチャなどは外部に委託する意向を示している。今後6か月は、小規模な体制で臨むとも。旧Telltale Gamesがおこなっていたエピソード形式の販売手法については、踏襲する可能性はあるものの、ユーザーのメディア作品の消費行動が変化しているため、配信ペースは再考するという。
なお、LCG Entertainmentが買収したのはTelltale Gamesのブランドと作品の権利のみであるため、シリーズの続編や新作を勝手知ったるかつてのスタッフがまた手掛けるのかどうかは不明だ。Jamie Ottilie氏は元スタッフを雇う考えを示しているが、旧Telltale Gamesでシネマティックアーティストなどを務めていたRyann Weller氏は、今回の新生Telltale Gamesの立ち上げは寝耳に水だとコメント。元スタッフらは世界中に散り散りになっており、同じスタッフが続編を手がけることはないだろうと複雑な心境を語っている。
Telltale Gamesとは何の所縁もない人物がブランドを買収し、どれだけの元スタッフが加入するか不透明な中では、多くのファンに愛されたTelltale Gamesが復活したとは言い切れない部分もある。一方で、『The Wolf Among Us: Season Two』などキャンセルされた作品の開発が再開されるのではと期待する声も聞かれる。LCG Entertainmentは、そうした不安や期待が渦巻くなか、Telltale Gamesの名にふさわしい作品を手がけられると品質で示していくことになるだろう。