Nintendo Switch版『SUPERHOT』欧州ニンテンドーeショップにPC版の映像が掲載されていると指摘。しかし些細なミスによる誤解と判明

Nintendo Switch版『SUPERHOT』、欧州ニンテンドーeショップにPC版の映像が掲載されていると指摘。しかし『SUPERHOT』開発者の回答により、些細なミスによる誤解と判明した。

インディースタジオのSUPERHOT Teamは8月19日、『SUPERHOT』のNintendo Switch版を海外にて発売した。プレイヤーが動いた時だけ時間が進むというパズル要素のあるFPSで、PCやPS4/Xbox Oneにて高い評価を得た作品である。このNintendo Switch版のリリースに際してRedditでは、ニンテンドーeショップに掲載された本作のトレイラーに注目が集まっていた。本来ここにあるべきでないものが掲載されているというのだ。

上に掲載したのは、イギリスのニンテンドーeショップで視聴できる『SUPERHOT』のトレイラーである。本作に登場するキャラクターのような、クリスタル風に表現されたNintendo Switch本体の画面にゲームプレイを映し出している。そして注目すべきは44秒あたりからのシーン。プレイヤーが敵の銃撃を受け、画面下に「press “R” to restart instantly」と表示されているのが分かるだろう。

本作では、死んでもボタンひとつですぐにステージをリスタートでき、その説明が表示されているのだが、RキーはPC版でのリスタート操作であり、Nintendo Switch版ではYボタンがこの操作にあたる。そのためRedditユーザーは、PC版の映像をニンテンドーeショップに掲載して本作を宣伝していると指摘していたわけだ。その投稿は2万3000件以上のUpvoteが投じられるほど注目を集めている。

 

PCベースで開発されている作品では、トレイラーやスクリーンショットをPC版にて撮影することが多く、コンソール向けにも同じ素材を掲載することは珍しくない。ただ、性能面で比較的不利なNintendo Switchでは、PC版の最高品質の映像と比べると実際のゲームプレイにおける齟齬が大きくなるケースがある。たとえば近未来レースゲーム『Xenon Racer(キセノンレーサー)』でも、PC版と同じ美麗な映像がニンテンドーeショップに掲載されていたが、Nintendo Switchの実機上ではビジュアルやフレームレートが大きく劣ると指摘されていた(関連記事)。

ニンテンドーeショップはゲームの返品・返金に対応していないため、購入してから「ストアで見た映像と違う」となっても後の祭り。そのため、Nintendo Switch版そのものの映像を掲載してほしいと、Redditなどでユーザーが声を上げることがしばしば見られ、『Xenon Racer』はその際に“悪い例”として示される作品のひとつとなっている。

ただ『SUPERHOT』に関しては、問題のトレイラーはNintendo Switch版のゲームプレイ映像で間違いなかったようだ。開発元SUPERHOT TeamのプロデューサーAnders Hillestad氏によると、この映像は公開直前まで多くの変更を重ねていたそうで、その忙しさから開発機にキーボードが挿さっていたことを編集担当者が見逃していたという。つまり、PC版にてゲームパッドを接続すると操作説明の表記が変わるのと同じように、キーボードを検出したためRキーの表記が画面に出て、そのまま録画しまったとのこと。その後、チーム内で映像を確認した際にも誰も気づかなかったという。

Hillestad氏は、今回の件は不幸なミスだったとし、誰かを欺こうと意図したわけでもないと述べる。このトレイラーは欧州のニンテンドーeショップでのみ掲載され、そのほかの地域ではリスタート操作表記のないものに差し替えられている。また、SUPERHOT Teamが公開した上のトレイラーでは、正しいYボタン表記のある別バージョンとなっている。なお、本作の製品版ではUSBキーボードを接続しても認識はしない。あくまで開発作業のために使用し、移植元のPC版のコードが残っていたため操作表示に反映されたとのことだ。

Nintendo Switch版『SUPERHOT』のトレイラーへの疑いについては、開発元のちょっとしたミスによる誤解であることが明らかになった。ただ、ニンテンドーeショップに他プラットフォームの映像・スクリーンショットを掲載している作品は依然としてある。これに関連して一部ユーザーからは、任天堂は返品・返金に対応してほしいという声が上がっており、RedditではEUやオーストラリアの消費者機関に報告しようという動きも見られる。

オーストラリアにおいては今年5月、PlayStation Storeのキャンセルポリシーは不十分であるというゲーマーからの報告を受けたACCC(オーストラリア競争・消費者委員会)が、同地域を管轄する欧州SIEに対し法律違反であるとして訴訟を起こすに至った(ABC News)。上述のRedditユーザーらは、任天堂にも同様の対応がおこなわれることを期待しているのだろう。

話は戻って、ニンテンドーeショップに掲載されるトレイラーやスクリーンショットであるが、先のRedditのスレッドでは、他プラットフォームのものであっても特に気にならないという意見も一定割合見られ、必ずしも不満の声ばかりというわけではない。ただ、Nintendo Switchが発売されてから話題に上ることが多くなったのは事実で、Nintendo Switch版の映像を掲載するメーカーも見られるようになってきた。たとえば、上の『ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション』では、実機上でキャプチャしたスクリーンショットであるとあえて明記している。プラットフォームごとにわざわざ撮り直すのは手間であろうが、メーカー側もユーザーのそうした反応を意識し始めているのかもしれない。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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