銃乱射事件の連続発生に際して、共和党議員らがゲームの悪影響を強く懸念。「ゲームが人を非人間化させる」と発言し議論に


現地時間8月3日から4日にかけて、アメリカにて銃乱射事件が立て続けに発生した。最初の事件はテキサス州エルパソにあるウォルマートで発生し、20人が死亡。オハイオ州デイトンでは、9人が死亡、少なくとも26人が負傷。容疑者は警察に撃たれて死亡したと報告されている(ロイター)。痛ましい事件が発生し人々が悲しみに暮れる中、共和党議員らがFox Newsとのインタビューで、ゲームの影響を強く懸念している。

共和党の下院少数党院内総務であるKevin McCarthy氏は、同インタビューにてビデオゲームの関連性について問われ、ビデオゲームは個人を非人間化させると懸念。銃撃ゲームは未来の子どもたちにも問題をもたらすのではないかとコメントしている。惨劇の状況などを見るとゲームなどの影響を感じるだろうと関連付けている。

また、テキサス州の副知事Dan Patrick氏がこの銃撃事件に際して、同じくFox Newsにて「ゲームは若者に人の殺し方を教えている」と言及している。氏は、これまで政府はゲームについて見過ごしてきたものの、ゲームに何かしなければならないではないかと懸念。なお、エルパソにて銃撃をした容疑者Patrick Crusius氏が、犯行直前に8chanやFacebookにて自身の政治思想を共有。移民についても嫌悪感を強く催しているほか、人気FPSシリーズ『Call of Duty』に触発されていることを示唆していた。副知事であるPatrick氏この件にもふれ、持論を補強している。

Patrick氏は、近年ではビデオゲームの悪影響を否定する研究が出ていることを認めながらも、持論は譲らず。アメリカ国民は銃を持って育ってきたが、最近になり銃乱射が多くなってきたのは、ゲーム産業が若者の殺し方を教えてきたからだと非難している。そのほか、元FBI捜査官のMaureen O’ Connell氏も、「容疑者は6~8時間家にこもって『フォートナイト』か、もしくはほかのゲームをし、次々と他人の頭を吹き飛ばせるような非人間化した人物だろう」と断言している。

銃撃乱射事件に際しては、しばしば事件との関連性が議論されるゲームであるが、今回も例外ではなく、攻撃の対象として晒されている。議員や副知事の、研究結果や論拠に基づかない発言については、ゲームコミュニティからも強い反発の声が見られる。『フォートナイト』などで活躍するTwitchストリーマーDrLupo氏は、アメリカの“非人間化”の主因は銃の暴力であり、ゲームは関係ないと断言。嘘をつかないでくれ!と前述した情報を流すメディアに怒りを見せている。

 

ゲームについてはしばしば悪影響について論じられがちだ。WHOなどはその依存性を危険視し、ゲーム障害という枠組みを制定したものの、暴力については近年ではゲームとの関連付けを認める研究結果が出ていない。参考としては、2016年にはイギリスの研究チームが、幼少期における暴力的なゲ―ムのプレイと青年期の行為障害には相関関係が無いという研究結果を発表していた。