Twitchにおける女性ストリーマーの「授乳」が議論の的に。娘に母乳を与える行為を配信するのは性的かどうか否か

Twitchにて活動する、とあるストリーマーの配信が議論の的となっているようだ。HeatheredEffect氏は「ASMR」の配信を中心に活動する女性ストリーマー。また一児の母でもある。

Twitchにて活動する、とあるストリーマーの配信が議論の的となっているようだ。海外メディアKotakuPolygonなどが報じている。ストリーマーの名はHeatheredEffect氏。氏は「ASMR」の配信を中心に、YouTuberやモデルとしても活動する女性ストリーマー。また一児の母でもある。

Image Credit: HeatheredEffect via Kotaku

ことの発端となったHeatheredEffect氏の配信内容は、氏の友人を招いて2人で雑談をおこなうといったもの。自分の娘を膝上に乗せてあやしつつ、友人と会話を楽しむ氏の様子が映し出されている。しかしこの配信は規約違反に該当するとして、視聴者がTwitchへ報告。違反報告を受けたTwitchは該当動画を一時削除したようだ。削除の要因となったのは「配信中の授乳行為」。約1時間半にわたる配信のなかで、HeatheredEffect氏は定期的に自分の娘に母乳を与える。その際に乳首が露出していることもあり、性的コンテンツに該当するとの判断が下されたのだ。

HeatheredEffect氏は自身のTwitterにて、動画がTwitchにより削除されたことを改めて報告。削除されたビデオクリップの一部を再投稿した。そして「母乳育児の正当化には長い道のりを要する」と述べたのち、米国において公共の場での母乳育児は50の州すべてで合法であることを主張。また、氏の友人であり、フィットネス配信をおこなうTominationTime氏の動画は乳首が映り込んでも削除されないことや、性的なものを示唆する服装に関してTwitchのガイドラインに記載される「着用した状況や意図を考慮したものを反映させたポリシーを更新してきた」という部分に対して異議を唱える旨の投稿をした。さらに海外TV番組「Mister Rogers’ Neighborhood」の母乳育児に関するエピソードが配信された時は何事もなかったとも強調し、授乳を性的コンテンツとみなしたTwitchの判断には不満を持っていたようだ。

これらの投稿には「母乳育児は支持するが、視聴者の多様性を考慮するとTwitchでの授乳は適切でない」といったコメントや「たとえ男性でも裸の上半身を見せることは許可されていない。規約は規約」といった批判的なコメントが多く寄せられた。またHeatheredEffect氏が「Normalizing Breastfeeding On Twitch(Twitchでの母乳育児は正常)」というタイトルでビデオクリップの一部をr/LivestreamFail (https://livestreamfails.com/post/56337)に投稿。そこでも「乳幼児を性的コンテンツの言い訳として使っている」や「自分の体を露出してお金を稼いでいる」など、非難の声が寄せられたようだ。

KotakuがHeatheredEffect氏におこなったインタビューでは「正直なところ、コミュニティの否定的な反応にショックを受けた。私を擁護する人は少ないように思われる」と思いを述べたのち、「私が母乳育児に関して啓発や変革をおこなう必要があると確信している」と批判と戦う姿勢を見せていた。また氏は、胸を出し入れする時間の大半は赤ちゃんがすることであり、それを制御することは困難なことや、多くの批判的なユーザーが、授乳による胸の露出を性的なものとして捉えていることが最大の問題だとも主張している。

その後、議論を巻き起こしたHeatheredEffect氏の動画は復活。氏のTwitterには、今回の事態を受けてTwitchからの返答が確認できる画像が投稿された。そこには、前例のないケースであったため判断が難しかったことや、各部署との相談の結果、授乳行為は利用規約に違反しないという合意に至ったということが記載されている。そして今回の件を踏まえてTwitchはコミュニティガイドラインを更新していくようだ。投稿の最後で氏は「反発があっても負けてはダメ。あなたならできる!」と締めくくっている。

最終的にTwitchにおける配信中の授乳は許可される形となった今回の事態。性的コンテンツの線引きに関しては個人の立場や時代、状況などによって異なる場合もあるため、Twitchにとって今回の判断は慎重さを要するものだったと思われる。今後Twitchのみならず、あらゆるプラットフォームにおいて、柔軟な対応が必要となりそうだ。また、ユーザーにはガイドラインへの理解と遵守が求められそうだ。双方が歩み寄ることで、よりよいプラットフォームづくりへの一歩を踏み出せるかもしれない。

Nobuya Sato
Nobuya Sato

最近Apexにハマり始めた人。幾度となく倒されながら高ランク帯を目指す。でも疲れる時もあるよね。その時はソロ専用ゲームをちょっとプレイして寝ます。

記事本文: 375