今年7月27日、米国テキサス州ダラスのイベント会場「South Side Ballroom」にて、ロックバンドのPapa RoachとAsking Alexandria、Bad Wolvesによるライブコンサートが開催された。そのライブ告知用に制作されたポスターが、インディーゲーム『Monster Prom』のアートワークを盗用したものではないかと指摘されている。『Monster Prom』は、モンスター学園を舞台に繰り広げられる恋愛シミュレーションゲーム。同作のパブリッシャーThose Awesome GuysのVlad Calu氏が、ツイッター上で両作を比較して見せている。
Shout out to ma' bois @paparoach @AAofficial and @SSBallroom who apparently ''misused'' some @monsterprom artwork for their show poster in Dallas, TX! ?
Good job friendos! ? pic.twitter.com/6PlSZnpyqB
— Vlad Calu | TAG ? (@vladwes) July 29, 2019
左側の画像がライブ告知ポスターであり、右側の画像が『Monster Prom』のポスターである。後者はゲーム関連のグッズ販売を行なっているウェブサイト「The Yetee」にて販売されている。フリーランスのイラストレーターÁstor Alexander氏が手がけたものだ。先述したCalu氏は拍手と笑い泣きの絵文字を使いながら、イベント会場および各バンドに対し、グッジョブと皮肉っている。バンドではなくイベント主催者側の問題ではあると思うが、Papa RoachのFacebookアカウントがライブ告知ポスターの写真を載せたことで、今回の件が知れ渡ることとなった。
今回の騒動については、『Monster Prom』のクリエイティブ・ディレクターJulian Quijano氏も反応しており、海外メディアのKotakuにコメントを寄せている。同氏はこうした盗用事例が発生してしまう理由について理解を示しており、「ナイトクラブで何年か働いていたことがあります。どのクラブも会場も同じことをしていますよ。彼らのグラフィックデザイナーは、パーティーやコンサートなど、毎週複数のイベント用ポスターをデザインしなくてはなりません。するとどうなるかというと、Googleでかっこいい画像を探し、少し手を加えた上でイベント情報を付け足していくのです」。今回の一件も、ライブ告知ポスターを担当したグラフィックデザイナーがたまたま『Monster Prom』のポスターを見つけて加工していったのだろう、というわけだ。
画像コンテンツの盗用は、関係者間の言い争いや、削除要請・使用料請求などに発展し得る問題。ゲーム業界においても、画像に限らず、BGMの無断使用、素材盗用、ゲーム全体のコピーなどトラブルが尽きない。だがQuijano氏によると、『Monster Prom』の開発チームは本件を笑い話として明るく受け止めているとのこと。対処の仕方はそれぞれではあるが、著名なバンドであるPapa Roachのコンサートで、恋愛シミュレーションゲームのアートワークが盗用されるというのは、確かにひと笑いしてしまう事例ではある。
なおPapa Roachは、懐かしのニュー・メタル全盛期に出したヒットシングル「Last Resort」で知られているロック・バンド。ニュー・メタル衰退後も方向性を変えつつ、精力的に新譜を出し続けており、2019年1月には新アルバム「Who Do You Trust?」をリリース。近年は再びミクスチャーロック寄りのサウンドを取り入れている。