2DオープンワールドADV『A Place for the Unwilling』Steam向けに発売。わずか21日で消失する町のなかで自分だけの物語を紡ぐ
スペインに拠点を置くインディースタジオALPixel Gamesは7月25日、オープンワールドADV『A Place for the Unwilling』を発売した。対応プラットフォームはSteam。価格は1520円。日本語は非対応となっている。本作は開発資金を募るため、2016年2月にKickstarterにて、プロジェクトを開始。最終的に918人のバッカーから、目標設定額である2万ユーロを上回る、2万2329ユーロの獲得に成功した。それから約4年の歳月を経て、リリースされた形となる。
『A Place for the Unwilling』は、ナラティブな物語にスポットが当てられた、見下ろし型2DサンドボックスADV。舞台となるのは、残り21日で消失する奇妙な町。プレイヤーは町の行商人となり、仕事をして生活費を稼いだり、新聞を読んだり、不気味な政治家や無政府主義の児童などといった、個性的な住民たちと交流したりすることで、日々を過ごしていく。そして日々の中でプレイヤーは、決断を必要とされる、あらゆる場面に遭遇することとなる。プレイヤーの決断次第で変化が及ぼされる100以上のイベントを通じて、残された21日のなか、自分だけの物語を紡いでいくのだ。
本作における物語の特徴のひとつとして、プレイヤーが関与しない場所や人物は消失するという点が挙げられる。まず、町で生活する住民たちは最初“黒い影”で覆われており、その姿を確認することはできない。影を解き、素性を明らかにするには、特定の住民とイベントで関与する必要がある。また町の各エリアに関しても、最初からすべての場所に訪れることはできない。各エリアが関係するイベントに関わることで、はじめて、新たな場所へのアクセスが可能となる。
しかし町は、プレイヤーが行動せずとも時を刻み続け、どのような選択を重ねようとも21日経てば終わりを迎える。これはプレイヤーの選択・行動次第では、永久に知ることがなく消失する人物や、場所が存在するということだ。こうしたユニークなシステムは、プレイヤーごとに異なるプレイ体験の実現に貢献しており、本作が謳う「ナラティブな物語」の一翼を担う。また貧富の差や孤立、コズミックホラーなどをテーマとして織り込んだイベントの数々は、物語全体をより深みのあるものに昇華させている。さらに本作には、戦闘やパズル、ミニマップやクエストマーカーといった要素は実装されておらず、徹底して物語にスポットが当てられた作品となっている。
『A Place for the Unwilling』の開発を手がけるALPixel Gamesは、本作のことを『Sunless Sea』の探検要素と、『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』のような奇妙な世界観に、ラヴクラフト要素を加えた作品であると表現している。21日で消失する町。ダークなテーマ性。自分だけの物語。いずれかのワードが気に入った方は、本作をプレイしてみてはいかがだろうか。