キャラメイクした女の子と恋愛するアダルトゲーム『コイカツ!』が、Steamの6月ベストセラー入り。『VRカノジョ』開発元の新作

『VRカノジョ』開発元の新作アダルトゲーム『コイカツ!』が、Steamの6月ベストセラー入り。『コイカツ!』はプレイヤーが作成したキャラクターと恋愛する、3DキャラメイクH恋愛シミュレーションゲームである。顔・身体・服装・性格をカスタマイズし、理想の彼女を作り出す。

【UPDATE 2019/07/26 10:30】
Steam版『コイカツ!/ Koikatsu Party』には学園生活要素が含まれていないため、本文より学園生活に関する記述を削除。

【原文 2019/07/25 15:53】
Valveは7月24日、2019年6月に発売された新作の中でのSteam売上上位20作品を発表した(リリース後2週間のデータ)。50対50の大規模WWIIシューター『Hell Let Loose』や、厨房で自由に料理を楽しむ『Cooking Simulator』、バナナがお供するアクロバティックなガンアクション『My Friend Pedro』といったコンセプトが明確なインディー作品。PC版『OCTOPATH TRAVELER』や『Bloodstained: Ritual of the Night』といった前評判の高い期待作などが並ぶ中、国産の成人向けゲームが一作混じっていた。『コイカツ!/ Koikatsu Party』である。

『コイカツ!/ Koikatsu Party』は、3DキャラメイクH恋愛シミュレーション『コイカツ!』のSteam版。アダルトVRゲーム『VRカノジョ』で知られるイリュージョンが手がけるアダルトゲームである。国内向けにはイリュージョンオンラインで公式配信されており、Steamでは英語版が成人向けコンテンツとして6290円で販売されている(音声は日本語)。なお規制解除パッチは外部サイトよりダウンロードする必要がある。

Steamの2018年レビューランキングにてセクシー要素のあるパズルゲーム『Mirror』が2位にランクインしたり、2018年のSteam年間ベスト新作にイリュージョンのVR作品『VRカノジョ』がリストアップされたりと、アダルトコンテンツはSteamにて存在感を高めつつある。『コイカツ!/ Koikatsu Party』については、Valveが「月間トップリリース」を公開し始めた2019年4月以降では、明確なアダルトゲームとして初のランクインとなる。

同作の特徴は、自由度の高いアニメ調の3Dキャラメイク機能により作成した好みのキャラクターを対象に、恋愛シミュレーションおよびアダルトな行為を体験できる点だ。髪型・髪色や各部位の身体サイズはもちろんのこと、瞳のグラデーション、アイラインの種類、ホクロ・そばかすなど、300を超える設定項目により細かなカスタマイズが可能となっている。肌の質感はフィギュア質感からアニメ質感まで段階に分けて調整でき、ツヤの強さや胸の重さ柔らかさまでこだわり抜いて作成できる。

服装も柄のパターンやカラーの変更によりオリジナルの衣装をデザイン可能。外見だけでなく性格も30種類から選択できる。セクシー、高飛車、不良少女、ボーイッシュ、文学少女、ヤンデレ、後輩キャラ、電波、のじゃっ子など、理想の女の子を作り出すのだ。ゲーム内のアップロード機能により、自分のWaifu(俺の嫁)を他のプレイヤーにシェアすることも。また本編を所有していると無料DLCとしてVR版がダウンロード可能となっている。

Valveは2018年、荒らしや違法行為を除くあらゆるコンテンツを原則的に容認する方針を打ち立てた。そして同年9月、Steamにコンテンツのフィルタリング機能が追加され、「ヌードまたは性的なコンテンツ」「暴力表現やゴア表現の頻出」といったカテゴリごとに表示可否を決められるようになった。このフィルタリング機能の実装にあわせて、過激な性的描写を含むアダルトゲームの多くが、Valveによる規制を受けることなく配信できるようになっていった。

未成年者および未成年者を彷彿とさせるキャラクターの性的シーンが含まれている一部のゲームが、児童の性的搾取を理由として配信が却下されるケースや、タイトルのとおり暴行をテーマにした『Rape Day』というゲームの配信が許可されずに消えていった事例もある。ただ、そうした例外を除けば、多くのアダルトゲームがSteam進出を果たしている。そして『コイカツ!/ Koikatsu Party』のように、Valve自らがトップリリース作品としてアダルトゲームを紹介する機会が増えていくのかもしれない。

なお6月の売上上位20作品のうち約半数が、Steamで初めてゲームをリリースした開発チームによるゲーム。また7作品は、早期アクセス期間を経て正式リリースを迎えたタイトルとなっている。具体的には、ゾンビの大群から人類を守るスチームパンクRTS『They Are Billions』、高速レトロFPS『AMID EVIL』、エクストリームスポーツを取り入れたバトルロイヤル『Ring of Elysium』などが、早期アクセス期間中に堅実な評価を築き上げ、正式リリース時に売上を伸ばした。

またスポーツゲームの躍進についてValveは、「Pro Cycling Manager 2019は通常は西ヨーロッパ(特にフランス)のプレイヤーに人気のゲームですが、このゲームがリリースされた数日後にスタートしたツール・ド・フランスへの関心が売上推進に貢献したと思われます。一方、F1 Racingの成功は、多数のプレイヤーがF1レースの最新シーズンの動向を追っており、おそらく、PCにハンドルコントローラーを接続してプレイしていることを示しています。」と分析している。

『Pro Cycling Manager 2019』

Valveは「このようなゲームの多くは、ニッチなオーディエンスグループの間で成功しています。こうしたニッチなグループがこれらのゲームをトップ20内に押し上げるほど大きく、活動的であることは素晴らしいことです」との所感も残している。6月は大作のリリースが控え目な時期。それはニッチな作品群が輝けた要因でもあるだろう。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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