Steamの実験的機能が試せるSteamラボ登場。機械学習を用いたオススメ表示や、1作6秒に凝縮したミニ予告編

Steamの実験的機能が試せるSteamラボ登場。機械学習を用いてオススメ表示の最適化を図る「インタラクティブレコメンダー」、ゲームのトレイラーを1作6秒に凝縮した「ミニ予告編」、そしてショートトレイラーをつなげた30分の「自動再生ショー」が現時点で試せるようになっている。

Valveは7月11日、Steamの実験的機能をユーザー向けに公開するSteam Labsを発表した。ディスカバリー機能、機械学習などの分野における実験的機能を一般ユーザーが任意で試すことができる。現時点では「インタラクティブレコメンダー」「ミニ予告編(Micro Trailers)「自動再生ショー(Automatic Show)」という3つの機能が公開されている。

目玉となるのは「インタラクティブレコメンダー」。ユーザーのプレイ時間履歴などをもとに、ニューラル・ネットワークモデルの機械学習を進め、ユーザーにオススメ表示するゲームの最適化を図るという機能だ。Steam Blogでは「何百万人ものSteamユーザーと何十億のプレイセッションからのデータを学習させることで、プレイパターンの微妙な違いと、カタログを網羅する強力な結果を得ることができました」「プレイ習慣が類似するプレイヤーが、あなたがまだプレイしていないゲームをプレイする傾向にある場合、そのゲームがあなたへの良いおすすめとなるようにすることが狙いです」と説明されている。なお機械学習には、レビュースコアやタグといったゲームに関する情報は使用されていない(リリース日のみ学習)。ゲームの特質を、ゲームの内容ではなくユーザーの行動を通して学んでいくためだ。

『Where the Water Tastes Like Wine』開発者のJohnnemann Nordhagen氏は、所要プレイ時間の短いゲームに不利な「プレイ時間」をベースにしたレコメンド機能に懐疑的であった。だが実際に同機能を触ってみると、どうやらプレイ時間以外も考慮しているようで、思ったよりも上出来だという感想を述べている。

https://twitter.com/johnnemann/status/1149377082100609024

機械学習によりオススメ表示を自動化するだけでなく、特定のタグ、発売時期、人気度(メインストリーム度)などの手動フィルタリングにより、オススメ表示される内容をカスタマイズできる。なおプレイヤーがいないゲームや、リリースされたばかりのゲームはデータがないため、同機能では取り上げられない。ディスカバリーキューを置き換える機能ではないのだ。デベロッパーは、各ゲームの既存の「トラフィックの詳細」ページにて、インタラクティブトレイラーにより生成されたページ訪問回数を確認できる。

タイトルの発掘に役立つかもしれない

「ミニ予告編」は、Twitter botの「Steam Trailers in 6s」(@microtrailers)を土台とした新機能。ゲームのプロモーション動画をもとに作られた、6秒の超ショートトレイラーである。特定ジャンルやキュレーターオススメといった、カテゴリ別の6秒トレイラーページが実験的に設置されており、気になるタイトルがあればトレイラーをクリックすることで、ストアページに遷移できる。

1タイトルずつの再生、3タイトル同時再生、同一タイトルのミニ予告を4本同時再生するパターンなどがある

最後の「自動再生ショー」は、前述した「ミニ予告編」のようなショートトレイラーをつなげて制作された約30分のbot製動画。こちらから確認できる。1日1本のペースで、最新のSteamタイトルが紹介されるという。ぼんやり動画を眺め、気になるゲームが流れたらボタンひとつで該当タイトルのストアページへと遷移できる。当初の目標は、ストアページのゲーム説明文をもとにテキストを生成し、機械音声により自動で読み上げること。現状は自然な音声再生が難しく、実装されていない。

「インタラクティブレコメンダー」「ミニ予告編「自動再生ショー」はいずれも実験段階の機能であり、ユーザーからのフィードバックを参考にしつつ改善が図られていく。もちろん、ユーザーの反応や開発状況次第ではお蔵入りとなる可能性もある。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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