クトゥルフ神話の影響受けるオープンワールドADV『The Sinking City』PC版が国内発売。 日本語対応表記があるものの非対応
パブリッシャーのBigbenは6月27日、Frogwaresが開発した『The Sinking City』を発売した。プラットフォームはPC(Epic Gamesストア)で、価格は通常版が6180円、追加サイドクエストなどを収録する「ネクロノミコンエディション」は7780円。後述するが、日本語については発売前から対応言語として表記されているが、実際には対応されていないと報告されている。海外ではPlayStation 4/Xbox One版も発売されている。本作は、作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが手がけた「クトゥルフ神話」の世界観をもとにする、探索型アクション・アドベンチャーゲームだ。
『The Sinking City』の舞台となるのは、1920年代のアメリカ・マサチューセッツ州に位置する架空の街オークモント。ほかの地域から隔絶されたこの街は謎の水位上昇による浸水被害に遭っており、さらに幻影に取り憑かれた人々による集団狂気事件が発生していた。同じく幻影に悩まされている主人公の私立探偵チャールズ・リードは、この街に暮らす協力者から連絡を受けてオークモントを訪れる。そして、事件の背後にあるものや水位上昇の謎について調査を開始する。
オークモントに到着したチャールズは、この街の名士ロバート・スログモートンと出会う。彼もまた集団狂気事件について探っており、チャールズは力を貸してもらうため協力することに。本作では、スログモートンからの依頼のようなメインクエストのほかに、街のNPCから請け負える事件調査のサイドクエストも豊富に用意されており、同時に複数のサイドクエストを抱えながらプレイできる。
事件を解決させるためには情報がすべて。まずは依頼者や周辺のNPCへの聞き込みを重ね、調べるべき場所や人などの手がかりを掴む。会話は選択肢から選んで進める形で、選択によって引き出せる情報や相手の反応が変わってくる。また、状況によっては嘘をつく選択肢も現れる。そして核心となる現場に到着すると、事件の証拠を求めて調査開始。現場に残された物証を調べ、そしてチャールズの類いまれなる調査能力を使い、より詳しく調べていくのだ。
チャールズには3つの特殊能力があり、まず特定の物証を手に取った際には、想像力を働かせてその物証にまつわるエピソードなどを目にすることができる。ふたつ目は、新たな証拠へと結びつく前兆を明らかにする能力。たとえば、現場から逃げ去った人物の足取りが可視化され、それを追っていくことで事件解決に向けて大きく前進する。
3つ目は、現場に残された物証から、その場所で事件当時に何が起きたかを理解する能力だ。断片的な情報だが、人物の動きや発言を含め詳しく可視化される。そして、複数の物証を調べて時系列順に並べていくことで事件の流れを把握し、新たな証拠として得ることができる。
オークモントの街は、7つの地域で構成された広大なオープンワールドとして表現されており、どこも陰鬱とした雰囲気が特徴だ。また、浸水被害の進んだ地域はボートに乗って街の中を移動する必要がある。ただ、所々にある公衆電話を発見することでファストトラベルが可能だ。
本作では、どこへ向かって誰と話し、何を探せば良いのかといったプレイヤーを導く情報は表示されないため、とにかく調査を重ねていくしかない(難易度設定によりヒント表示が可能)。手がかりは聞き込みや現場での調査以外に、街の施設にある資料室で得られることもある。たとえば市役所に行けば住民などの一般的な情報を、また警察署や病院では特定の分野の人物について調べることができる。資料室では、それまでに得た証拠をもとに調べる時期や対象の職業、地域などを指定することで、情報を引き出すことが可能だ。
また、開発元Frogwaresがかつて手がけた『シャーロック・ホームズ 悪魔の娘』の「推理空間」に似た、「記憶の宮殿」と呼ばれるシステムもメニュー内に用意されている。ここでは、調査にて得た手がかりのメモが集められており、任意のふたつの手がかりを組み合わせて、その事件についての推論を構築することができる。そうして事件の謎をすべて解き明かしたら、依頼者のもとへ報告に行ってクエスト完了である。
クエストを完了すると経験値を獲得し、一定値貯まるごとに知識値と呼ばれるスキルポイントに変換される。本作には、チャールズの生命力・戦闘能力・精神力に関連するスキルツリーがそれぞれ用意されており、知識値を消費してアップグレードさせることが可能だ。たとえば戦闘能力であれば、銃弾を1回に2発消費する代わりに、銃の攻撃力を一定の確率で2倍にするスキルがある。
調査の過程では、異形のモンスターに遭遇することもあり、所持する銃などで応戦しなければならない。ただし、銃弾は豊富にあるわけではないため、探索にてまめに確保していきたい。また、こうした現実とは思えない状況などに触れたり、前述の特殊能力を長く使用し続けることで、チャールズの正気度は削られていく。すると視界が徐々に歪み幻覚を見るように。症状が進むと、幻覚のモンスターに襲われることもある。
もともと精神的に脆いチャールズは、狂気に囚われつつあるなかでオークモントの街の謎に迫っていく。この街には、従来からの住民のほかに、インスマス人と呼ばれる魚のような顔をした人々も移り住んで来ており、複雑な環境にあるようだ。そして謎の水位上昇の背後には、何か未知の偉大な存在が見え隠れしているという。
なお『The Sinking City』のPC版は、ストアにて日本語対応と表記されているものの、実際には公式には対応していないことが報告されている。一方で内部データとして日本語字幕が存在するようで、一部ユーザーがとある方法でデータを改変し日本語で遊ぶことに成功している。非公式の方法であるので、試みる際には十分に注意されたい。また、日本ではPS4版が2019年内にオーイズミ・アミュージオから発売予定となっている。現在弊誌は、パブリッシャーBigbenと開発元Frogwaresに、日本語の対応状況について確認中だ。
【UPDATE 2019/6/28 12:15】
Epic Gamesストアで販売中のPC版が、日本語対応との表記がありながら実際には対応していない件について、弊誌が開発元Frogwaresに確認したところ、同スタジオCEOのWael Amr氏から回答があった。Amr氏によると、日本語ローカライズはすでに準備ができているが、PC版から除いたのは独占ライセンス先である販売元Bigbenの判断によるものとのこと。同氏は、混乱させてしまって非常に申し訳ないと述べていた。
そして肝心の日本語版(全プラットフォーム)については、「10月31日」に日本でリリースされるとしている。同スタジオとしては、これはPS4パッケージ版が日本で発売されるタイミングに合わせたものだと理解しているとのことだった。なお、このPS4日本版の発売日はまだ正式には発表されておらず、2019年予定のままである。以下、英語の回答の原文を記載する。
We are horribly sorry for the confusion, our exclusive licensee, bigben, made the decision to release japanese version 31/10 of October on all platforms in Japan.The localization is ready, the game is ready, but 31/10 is the date.It s to coincide with ps4 retail release as far as we know.