ファンメイドゲーム「マリオロイヤル」が『DMCA Royale』に改名し再出発。76人で戦う無料横スクバトルロイヤル【UPDATE】


YouTuberなどで活動するインフルエンサーであるInfernoPlus氏は6月22日、無料公開しているゲーム「Mario Royale(マリオロイヤル)」のバージョン2.0アップデートを実施し、『DMCA Royale』へと改名した。これまで「スーパーマリオ」の素材およびIPを無断使用したファンメイドゲームとして開発されていたが、本人によるとIPおよびアセットはすべて差し替えたという。アセットはひとまず緊急で差し替えられたものであるが、今後さらに変更および洗練されていくそうだ。これにより、ファンメイドではなく、自分のゲームとして再出発をはかったことになる。

「マリオロイヤル」はInfernoPlus氏によって、6月15日に公開されたゲーム。Javaサーバーをバックエンドに、HTML5ベースのブラウザゲームとして構築されている。同作は、『スーパーマリオブラザーズ』をマルチプレイ化し、バトルロイヤル形式にアレンジ。最大76人で生き残りながらゴールを目指として作られた。ページにアクセスし名前を入力すると、マッチングをしたのち、ゲームスタート。ランダムに選ばれるステージを走り抜け、ゴールを目指す。何度かゴールに到達していると、クッパ城ステージが舞台として選ばれる。最終ゴールにたどり着けた先着3名が勝者として認定される。プレイヤーであるマリオ同士に接触判定はないが、蹴り飛ばしたカメのコウラには判定があったり、スターを取得すれば判定が生まれたりと、妨害しあう要素もある。

コントローラーやキーバインドもサポート

公開するや否や、往年の傑作がマルチプレイ&バトルロイヤル化されるということで話題を集めた「マリオロイヤル」。すぐに始めてすぐに終われる手軽さや、生存とスピードの両方が求められる競技性など、話題性とゲームプレイの両面で注目を集めていた。公開後はしばらく、コンスタントに1000人以上のプレイヤーが遊んでいたことも確認されている。しかしながら、一方で任天堂のIPおよびアセットを使用しており、同社の知的財産権を真っ向から侵害。人には紹介しづらいもしくはできないゲームでもあった。また氏は同ゲームをYouTubeのネタにしていたり、個人に対する支援をおこなうクラウドファンディングPatreonへの誘導をおこなうなど、営利目的としての一面もうかがわせた。これに対し氏はViceのインタビューにて、サーバー代は月に120ドルかかっているので、赤字の状態であるとコメントしていた。

公開時からInfernoPlus氏は、任天堂からDMCA(デジタルミレニアム著作権法)違反による警告が来るだろうと予告していた。同ゲームを数か月にわたり築き上げた経験は貴重であったとし、見逃してもらえればハッピーだが、そうならないことはわかっているとコメント。訴訟されなければ問題はないとしていた。結果的には約1週間後にニンテンドー・オブ・アメリカからメールを受け取ることとなる。

『DMCA Royale』のタイトルは、その名のとおりDMCAを受け取ったことへの皮肉が込められているのだろう。これまでにもファンゲーム「No Mario’s Sky」がDMCA警告を受けた際には「DMCA’s Sky」という名前に改題されており、ある種お決まりの皮肉である。なお、本作は『テトリス99』からインスピレーションを受け開発されたという。テトリスとバトルロイヤルを組み合わせるという、ユニークなアプローチに触発され開発が始まったそうだ。

ゲームシステムは保たれたまま、氏自身のゲームとして再出発した『DMCA Royale』。これで、今までよりは人に紹介できるゲームにはなったものの、企業の知的財産権を侵害することで人気を獲得し、ユーザーベースをある程度獲得してから自分のゲームとして運用される手法は、なかなか肯定することが難しい側面もある。InfernoPlus氏は、任天堂からは訴訟はされなさそうであるとコメントしている。安心したようで、銃を追加するなど毎日のようにゲームに調整を入れ、開発に精を出している。同ゲームがどれほど開発されていくかは不明であるが、今回意外な形でポテンシャルが発見された横スクロールアクション型のバトルロイヤルゲームが、インディーゲーム開発者などから生みだされる可能性はありそうだ。

【UPDATE 2019/6/27 15:40】
「Mario Royale」から変更された『DMCA Royale』が、制作者であるInfernoPlus氏によって公開停止された。タイトルやアセットは変更されていたものの、“ニンティンディー”の弁護士によると、それでもまだ同作は著作権を侵害していたという。InfernoPlus氏が何度も質問をしても、侵害している具体的な箇所は明かされなかったが、レベルデザインや全般的な仕組みが『スーパーマリオブラザーズ』に似すぎていることが理由だろうと氏は推察している。

理由もわからずに変更をしても、さらなる法的なリスクを犯すだけであるとし、公開停止を決断したようだ。また同作のことについて、数週間以内に“その短い命”についてYouTubeで話すとちゃっかり宣伝しながら、締めている。ビジュアルなどは一新されていたものの、プレイヤーキャラクターの動作などを含めて原型が“マリオ”であることは拭えなかった『DMCA Royale』。公開されている間は楽しかったとし、氏はTwitterで「弔いのイイネ」を求めている。