同人シューティング『Hellsinker.』Steam版の配信が決定。チュートリアル実装など大量のアップデートを経た「完全版」

圧倒的な弾幕を圧倒的な自機性能で制圧する爽快感、神経質なまでに作り込まれたステージ構成、心揺さぶる大胆かつ鮮やかな演出……。 TONNOR氏個人によって開発された同人作品でありながら、同人ゲーム離れした完成度の高さと同人ゲームでしか実現できないアクの強いゲーム性で、STGファンの心を惹き付けて離さないシューティングゲーム『Hellsinker.』。 2007年のコミックマーケットC72で販売されて以降多くのクリエイターに影響を与え続けている本作が、ついにSteam(Windows)で配信されることとなった。 販売を行うのは『鋼鉄のヴァンパイア』など日本の「同人」ゲームを中心に取り扱う日本のパブリッシャーHenteko Doujin。 今年から総合創作物マーケットBOOTHにて配信を開始した本作のダウンロード版関連記事)は、チュートリアルの実装を含めた大量のアップデートによってもはやオリジナル版に対する「完全版」と言っても良いものになっており、Steam版『Hellsinker.』もそれに準じた内容になる模様だ。 発売日、価格などはまだ明らかにされていないが、日本語の他に新たに英語・中国語への対応が告知されている。

かつて人が生みだした安寧の時代が崩壊し、長い年月を経て人々が絶望から立ち直り始めた頃。 その輝かしい「一時の蜜月」への憧憬は、安寧を作るシステム「機構」を再現しようとする者「模倣者」を生み出した。 楽園と呼ばれる人工島に建つ巨塔「CARDINALSHAFT」も、「模倣者」たちの試みが遺した残骸の一つだった。 しかし何時からか、人を辞めた祈り手「PRAYER」と呼ばれる存在がCARDINALSHAFTを守護し、人の接触を阻むようになる。 永き因縁に決着を付けるべく、遺言執行者「EXECUTOR」たちはそれぞれの想いを抱えCARDINALSHAFTへと飛び立つ。

『Hellsinker.』はフリーゲームのSTG『らじおぞんで』などの作品で知られるTONNOR氏(ひらにょん、とんのり丸などの名義もある)が制作した縦スクロール型シューティングゲーム。 プレイヤーはEXECUTOR「DEAD LIAR」「FOSSIL MAIDEN」「MINOGAME」+αを自機として操作し、全8面(+EX)のステージを攻略する。 一般的なSTGと比べ、本作は自機の攻撃、防御手段が非常に個性的かつ多彩。 それらと相互作用するパラメータも多数存在するため、システムは極めて複雑な部類に入るだろう。 しかし、クセの強い自機から強みを引き出し、対応手段を臨機応変に使い分けることで、一方的に的を蹂躙する爽快なパターン構築が楽しめる。 ここではとても書き切れないので詳細は省くが、ゲーム性、ストーリー、演出、BGMのいずれもがハイクオリティで、かつそれらが有機的に結び付いている点が本作の魅力だ。

Steamストアページより

2007年の発売開始から約12年に渡って愛され続けてきた『Hellsinker.』。 物理メディア版は何度も再版され最終的には第6版となり、2019年1月には総合創作物マーケットBOOTHにてダウンロード版が配信された。 海外からの知名度も高く、有志によって英語にローカライズされた海外バンドル版も存在する。 そして、PCゲームの配信プラットフォームとして最大規模であるSteamでの配信によって、『Hellsinker.』は国内・海外共により手軽にプレイしやすい環境になると言えるだろう。 しかも、今回配信されるSteam版『Hellsinker.』はオリジナル版から大きな進歩を遂げているのだ。

実はBOOTHにおけるダウンロード版配信以降、本作にはTONNOR氏による精力的なアップデートが行われていた。 その数は非常に多く、バージョンは初版の「dl01」から現行版では「dl19d」にまで進んでいる。 DL版配信直後は細かなバグ修正が中心だったが、次第に自機表示オプションやHDレンダリングなど新しい機能が追加されるようになり、5月にはとうとう新規にチュートリアルが実装されてしまった。 このアップデートはSteam版にも反映されるようなので、これまでに追加された機能を大まかにまとめておこう。

チュートリアル(PRACTICE CHAMBER)

追加された中で最もインパクトのある新機能はやはりチュートリアルだろう。 アーケードSTGでよくある自機選択後に出てくるちょっとしたやつとは違って、普通にプレイしてもクリア時間が10分を越える非常に丁寧かつ詳細なものだ。 前述したように、本作のシステムはとても複雑かつ難解だ。 しかし、本体に同梱されている説明書「概要と手引き」もまた難解であるため、初心者はだいたい何も分からない状態で本編へと突撃し、そして死ぬことになっていた(とはいえ、概要と手引きには全てのシステムが詳細に解説されており、リファレンスマニュアルとしてはゲームシステム面でもストーリー面でもとても有用だ。ただ非常に難解なだけである)。

チュートリアルでは、自機の武装の使い方、SEAL(弾封じ)やMASTER&SLAVEを始めとする的(本作では破壊対象を「的」と呼ぶ)の性質、パラメータやアイコンの特徴などが実戦を交えて解説されており、基本的な部分から直感的でない独自システムまでざっくりと理解できるようになっている。 加えて、チュートリアル内で本編の(初見殺しな)一部パターンが再現されており、実戦におけるパターン構築の参考にもなりえる。 チュートリアルはゲームの初回起動後に自動で始まるようになっており(もちろんスキップ可能)、初心者への厳しさは大きく柔らいでいるように思われる。

トレーニングモード(FREE TRAINING)

チュートリアルは『Hellsinker.』の基礎システムについては詳しく教えてくれるが、多彩な自機の多彩な攻撃手段までは教えてくれない。 そこで役立つのがPRACTICE CHAMBER内に存在するFREE TRAINING、いわゆるトレーニングモードだ。 特にFREE TRAINING2は格闘ゲームのようにダミーターゲットを一方的に攻撃できるモードで、自機の性能をじっくりと確かめることができる。 必要操作がやや難しい攻撃があったり、同時押しや溜め操作の高速な使い分けが求められたりする本作では、単純な操作練習ができるだけでもありがたい。 一定時間中のDPSやヒット数を表示する親切機能も備わっており、最適なコンボを思う存分試行錯誤できる。

HD Render機能

本作は元々640×480のSD解像度だったのだが、アップデートによりHDレンダリングに対応し、一部グラフィックが2倍以上の高解像度で表示されるようになった。 ドットで描かれた部分はさすがに変化しないが、ポリゴンで描写された背景には特に強い影響があり、演出の迫力がさらに強化された印象だ。

強調表示オプション

本作のゲーム画面には、自機のステータスであるLife・Sol・Lunaの他、3種のスコア、的の性質など多数のパラメータが表示される。 元からサイドフレームに表示されていたり、さりげない色付けで示されたりしていたものだが、このようなパラメータを強調表示するオプションがアップデートで多数追加された。 特に自機状態のオプション表示を有効化すると、自機の周囲に上記のステータスがダイナミックに表示されるようになりとてもインパクトがある。 ここで追加されたオプションの数は非常に多いため詳細には触れないが、それらを有効化しなければ表示されない情報があるわけではなく、すべて元から表示されていたパラメータの視認性を良くするものなので、ゲーム攻略を直接有利にするものではない。 しかし、好みに合わせて情報を強調できるため、稼ぎプレイ時などのプレイアビリティ改善には効果大だ。

ほぼ全てがダウンロード版配信後のアップデートで追加されたオプションである。

発売開始から12年経った今になっての怒濤のアップデートにより、『Hellsinker.』はその完成度をさらに高めることとなった。 これらのアップデートはBOOTH版で既に実装されているものなので、Steam版が待ち切れないという方は先にこちらを買っておこう。

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