本物の”漢”を決めるスポーツゲーム『The Real Man Summer Championship 2019』この夏発売予定。BBQにサウナ我慢などで、ベストタフガイを決めろ

 

いま開かれる──“男の世界”。1970年、男性用化粧品を扱う株式会社マンダムのキャッチコピーだ。あの時代、CMの中で荒野をさすらうチャールズ・ブロンソンこそ男の中の男だった。タフガイが死に絶えた令和に、再び男の中の男を競うゲームが爆誕した。それが『The Real Man Summer Championship 2019』だ。2019年夏に、PC(Steam)向けに発売予定。

『The Real Man Summer Championship 2019』は、競技を通じて男を競う世界最高の“スポーツゲーム”だ。ゲームには世界各国からイカれた男たちが集まり、8種の競技で真の男を競う。競技の筆頭は──もちろんBBQだ。

私が思うにBBQは、男かどうかを決めるのに最適な指標のひとつだ。BBQを制するものは、女性を制する。BBQをいかにダンディーにこなすかで男の価値は決まる。炭に華麗に着火する男はぜったいに女性にモテる。女性は誰しも、BBQの炎に群がる蝶のようなものなのだ。(※個人の見解です)

トレーラーを見る限り、BBQをなめてかかると炎に身を投げることになるようだ。ある意味男らしい死に様といえるだろう(ルール的に死ぬことはなさそうだが)。この記事をここまでお読みいただいた読者の皆さんにはもう、なんとなく察していただいているだろうが、情報があまりに少ないため、正直私はこのゲームについてよくわかっていない。というわけで、確実に判明している本作の特徴を列挙しよう。

 

本作の特徴

競技者たちはそれぞれ独自の卑劣な技巧をともなう行動様式やスキル、スペシャルアイテムを持っている。チャレンジに勝利し、チートでハイスコアを稼ぐのだ。各キャクターには、それぞれ生い立ちの物語がある。まちがいなくなにか賞を受賞するだろう。ほろ苦いエンディングも用意されている。あなたは、推しメンアイドルが引退したときの、10代の少女のように号泣することだろう。

ゲームは過剰な操作でボタンを叩きまくって、コントローラーやキーボードを破壊するようなものではない。行動のタイミングをはかり、リソースを管理するのだ。腐るほどのシークレット、アンロックできるキャラクター(女性も?)、より高難易度で奇妙な秘密のステージ。そして、ゲームモード。さらに、気が遠くなるほどの実績。

いかがだろうか。文面だけ読んでもどんなゲームか想像もつかないが、Steamのジャンルはアクションゲームで、デベロッパーはファミコンやアーケード風の古典的スポーツゲームを自称している。UIを見る限り『みんなのGOLF』式の角度を調整したり、タイミングを競うゲームのようだが、とにかく謎(不安要素)の多いゲームなのだ。

 

登場する競技

BBQ以外に、どんな競技があるかもご紹介しよう。まずは「ワイフトス(嫁さん投げ)」だ。真の男なら、誰しも一度や二度はワイフをハンマー投げの要領で放り投げたことがあるだろう(※異論は受けつける。なお、競技名の和訳は私が勝手につけたものである)。トレーラーでは、湖に向けてワイフがぞんざいにぶん投げられている。火事の現場から愛するワイフだけでも救いたいときには、役立つスキルにちがいない。ワイフを投げられないようでは、家族の命も愛も守ることはできないだろう。

次に、「サウナバトル(温室風呂我慢大会)」だ。男なら誰しも一度は経験したことがある、ポピュラーな競技といえるだろう。サウナを我慢できないようなやつは、ママのおっぱいでも吸っていればいいのだ。

4種目めは「バーンダンス(田舎踊り)」だ。Burn Dance(炎上踊り)ではなく、納屋を表すBarnのバーンダンスだ。男塾名物油風呂的な踊りや、賭博黙示録カイジの焼き土下座的なダンスを想像してはいけない。田舎の納屋でハードラックと踊るのも、それはそれで男らしいのだ。

5種目めは「ビールスラム(ビール一気飲み)」だ。このご時世だから他人に強要してはいけないが、飲みたいときには飲んで飲んで、飲みつぶれて眠るまで飲むのが男なのだ。

6種目めは一気飲みの勢いのまま「ドランク・ダーツ(酔っぱらいダーツ)」、7種目めは「アントヒル・サバイバル(蟻塚生存競争)」、8種目めは「バター・メイキング(美味しいバターを作ろう)」だ。

ここまで読んでもまだ「ちょっとなにを言っているのかわからない」という方も大勢いることだろう。心配ない。男には自分の世界があり、例えるなら空を駆ける一筋の流れ星だ。男とは、不器用で馬鹿で、理解し難いものなのだ。

かつてレイモンド・チャンドラーは、ハードボイルド小説「プレイバック」の中で 、男の生き様について「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」と書いた。サウナに堪え、酒を浴びるように痛飲し、ダーツを投げたり踊ったり、おいしいBBQやバターをつくるのが、真にタフな男なのかどうかは大いに疑問が残るところだが、少なくともワイフをぶん投げる優しくない男には、いまや生きている資格はないのかもしれない。現代に生きる去勢された男である私のような男にとって、作中のような馬鹿騒ぎは、ゲームの中だけにしておいたほうが無難だろう。本作は、そんな令和時代にはやりたくてもできない「馬鹿騒ぎ」についてのゲームなのだ。

ところでこのゲームのトレーラーに使用されている愉快な曲は、2010年のフィンランドのヒット曲だそうである。恐ろしいことに、私がトレーラー観たときには視聴回数はわずか13回だった。その後16回になったが、もちろん増えた3回は私が観たものである。「そんなことで販売は大丈夫なのか?」と心配せざるを得ない。じつに男らしい逆境であり崖っぷちだが、このゲームに興味を示すような本物の男が、現在いかに少ないかを表す一つの指標ともいえそうだ。

世紀の怪作『The Real Man Summer Championship 2019』は、この夏発売予定。価格は未定だ。開発者は7月はじめにリリースできそうだとコメントしている。ひと夏の馬鹿騒ぎに興味のある、去勢されていない貴重な男性諸君は、どうかそれまで待っていてもらいたい。