スパイク・チュンソフトは、日本/アジア版PlayStation 4『OVERKILL’s The Walking Dead』を発売中止すると発表した。同作についてスパイク・チュンソフトは、今年1月に「十分なクオリティを担保できない」という理由で発売の無期延期を発表していた。同社はその後、海外版の発売元である505 Gamesとともに状況確認および対応協議を進めていたが、現時点で発売の見通しを立てることが困難という結論に至ったという。
『OVERKILL’s The Walking Dead』は、Starbreeze Studios傘下のOverkillが開発を手がける、協力プレイ対応FPS。Robert Kirkman氏の人気コミック「The Walking Dead(ウォーキング・デッド)」をベースにしており、最大4人までのオンラインマルチプレイに対応。アメリカの首都ワシントンD.C.を舞台に、大量のウォーカーがうろつく世界で、プレイヤーはAidenやHeeather、MayaにGrantといった4名のキャラクターを選び生き抜くことを目指す。
同作は、『Payday』シリーズを手がけるOverkillが開発するということで、大きな期待が寄せられていた。昨年11月にSteam版が発売されたものの、期待されていたほどセールスが伸びず、流動資産の不足によるStarbreezeの経営破綻が報じられ、会社の再建に取り組んでいることが明かされていた。
その後「The Walking Dead」のIPを保有するSkybound Entertainmentは、要求する水準に満たないことを理由に『OVERKILL’s The Walking Dead』のIP貸し出しを売り切り、Steam版がストアから取り下げられた。そのタイミングからコンソール版の発売中止が濃厚であるとささやかれていたが、スパイク・チュンソフトから正式な発売中止の発表が出た形。
Starbreezeは引き続き経営危機状態にあり、今後12か月の運営をおこなうための十分な資金がなく、仮に追加資金を調達できなければ、2019年中頃までには流動資産が不足する事態に陥るだろうとし、会社存続の危機に直面していることを明かしている。『System Shock 3』や『System Shock 3』の販売権、そして傘下スタジオDhruvaもRockstar Gamesに売却。とにかく資産を売り出すことで現金の確保をはかっているが、Steam版『OVERKILL’s The Walking Dead』の販売が止められていることもあり、資金繰りに苦しんでいる(関連記事)。『OVERKILL’s The Walking Dead』の販売不振は、Starbreezeだけでなく、505 Gamesやスパイク・チュンソフトなど、さまざまな会社を苦しめることとなった。