PS3向けオープンワールド『InFAMOUS』の初期タイトルは「True Hero」だった。発売10周年に際して数々の小ネタが明かされる

SIEの子会社でありデベロッパーのSucker Punch Productionsは公式Twitterにて、同社が開発を手がけた『InFAMOUS』が、発売から10周年を迎えたことを祝い、同作の初期アイデアとデザインを公開したツイートをいくつかのテストプレイ映像とともに投稿した。

ソニー・インタラクティブエンターテインメントの子会社でありデベロッパーのSucker Punch Productionsは公式Twitterにて、同社が開発を手がけた『InFAMOUS』が、発売から10周年を迎えたことを祝うツイートをおこなった。あわせて、同作が発売を迎えるまで辿ってきた初期アイデアとデザインを公開したツイートがいくつかのテストプレイ映像とともに投稿された。

『InFAMOUS』はPS3向けに2009年5月26日に発売されたサードパーソンアクションゲーム。国内向けには11月5日に発売された。無法地帯となり荒廃した街「エンパイアシティ」を舞台に、超人的な能力を身につけた主人公「コール」が犯罪組織と戦うといったストーリー。コールは電気を自在に操ることができ、手から放つ電撃で敵をなぎ倒すこと以外にも、車や街頭などから電力を補給しつつの戦闘、果ては空の滑空や超高層ビルをよじ登ることも可能。また同作の特徴として、善悪の選択がプレイヤーの手にかかっていることが挙げられる。正義の味方になるのか、はたまた街を脅かす悪党になるのかはプレイヤーの自由であり、選択によって取得できる能力やストーリーの内容に変化が及ぼされる。こうした、主人公が超人ゆえの快適な操作性と、自由度のあるストーリーで人気を博し、2011年7月7日にはPS3向けに『InFAMOUS 2』が、2014年5月22日にはPS4向けに『InFAMOUS Second Son』が発売された。

今回公式Twitterからは初期デザインやコンセプトに関する10のツイートが投稿された。ここでは1から順に追っていくこととする。まず1つ目の投稿では『InFAMOUS』のオリジナルタイトルは「True Hero」だったことが明かされる。当初“InFAMOUS”というタイトルには法的な許可が下りておらず、同作の初披露の場となる2007年のE3までに申請が通るか不明確だったため、代替タイトルとなる「True Hero」の予告編も用意されていた。

結果的にE3の発表までに許可が下り、同作のタイトルは『InFAMOUS』となった。2つ目の投稿では、初期バージョンのテスト映像が投稿され、主人公が電話ボックスを利用することで“ヒーロー”から“民間人”へと変身する様子が映し出されている。また、3つ目の投稿には主人公のヒーローとしての役割に、建物を改修して市民を幸せにするといったアクションが含まれていたことについて言及しており、こちらのテスト映像には建物改修用のホイールメニューが表示されるなど、現在の『InFAMOUS』の仕様とは大きく異なっている。

4つ目の投稿では、主人公は正式に名前が決定するまでの間、スタジオ内でのニックネーム「GearWolf」の名で呼ばれていたことが判明。公開されたコンセプトアートには、坊主頭が印象的なコールとは似ても似つかない長髪の男が描かれている。このキャラクターと思わしき人物が登場する5つ目に投稿されたテスト映像には、市民を“口喧嘩”でねじ伏せるシーンが映し出されており、まだコールとは別人物のように見える。また、市民と主人公の頭上には感情を表すアイコンのようなものが浮かんでおり、当初は“感情”をゲーム要素に取り入れようとしていたことがうかがえる。

6つ目の投稿では、主人公のカスタマイズ要素を検証していたことを公開。服装、髪型の種類や色を自由に選べる仕様になっていたようだ。そして7つ目の投稿で主人公はテレキネシスパワーを手に入れ、ナンバープレートやSTOPの標識などの金属物を投てきすることが可能となる。この段階で少しコールに近づいた印象を覚えるが、8つ目の投稿ではバイクに搭乗し、パルクールアクションを繰り広げる主人公が登場。バイクに乗りつつも軽々と、屋根の上や橋のふちに飛び移るアクロバティックな姿がテスト映像に映されている。そして9つ目の投稿にして主人公は目に見えない力を利用し、街中を“滑る”能力を手にする。テスト映像には宙に浮かぶスノーボードのようなマシンに乗り、街中を駆け回る姿が映し出されている。この段階で、電線の上や線路上を滑り移動するコールの姿が明確になってくる。最後に同作のプレイヤーに向けてSucker Punch Productionsからのボイスメッセージが投稿され、『InFAMOUS』の“振り返り”は以上となった。

今回の一連の投稿からは、ゲーム開発における初期・中期段階の内容と、最終的にプレイヤーが遊ぶこととなる内容は大きく異なるケースがあるということがうかがえる。開発者が実現したいこととプレイヤーが望むこと、削るべき要素と追加するべき要素、これらに慎重な判断を最後まで重ねつづけた結果『InFAMOUS』は誕生したのかもしれない。

Nobuya Sato
Nobuya Sato

最近Apexにハマり始めた人。幾度となく倒されながら高ランク帯を目指す。でも疲れる時もあるよね。その時はソロ専用ゲームをちょっとプレイして寝ます。

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