トランプ大統領が主導する、対中貿易の25%追加関税のリストに「ゲーム機」が加わる。Nintendo Switchなどが影響を受ける可能性

 

過熱する米中貿易戦争の影響は米国のゲーマー達にまで及びそうだ。米国通商代表部(USTR)が発表した中国製品に対する25%の追加関税対象製品の予定リストの中に、ゲーム機などの名前が挙がったからだ。

Image Credit : Wccftech

米国通商代表部は5月17日、トランプ大統領が主導する中国製品への制裁的追加関税のうち、新たな25%の追加関税の対象となる製品の予定リストを公表した。その中には、ゲーム機、ゲーム機用コントローラー、アーケードゲーム機で使用されるコイン等、の記述が含まれていた。

「これは米国のゲーマーにとっていいニュースとはならないだろう」海外のIT系ニュースメディアであるWccftechのAlessio Palumbo氏はそう評している。「来年のおそらく秋頃、マイクロソフトとソニーが次世代ゲーム機を399~499ドルの間の値段設定でプッシュするだろうとみられている。この25%の追加関税はそのセールスに貢献しないだろうね。」とも。また同氏は、Xboxは初代を除き二世代に渡って中国で生産されてきたので、新たな次世代機もこの追加関税の影響を受ける可能性はあるとも解説している。

他方、Nintendo Switchを売り出している任天堂としてもその影響を懸念しているようだ。現在Nintendo Switchの米国輸出生産分はほぼすべて中国で作られており、この追加関税の対象となる。生産拠点を中国以外に移す選択肢もあるが、鴻海精密工業など複数の受託製造サービス(EMS)に生産を委託しており、自社だけで決断できない面もあり対応は難しいようだ(日経新聞電子版)。

また、この追加関税は米国経済にとって悪影響だと指摘する声もある。海外ゲームメディアのGameDaily.bizはESA(Entertainment Software Agency。アメリカにおけるビデオゲーム業界の陳情団体)からEメールを通して寄せられた内容について紹介している。「ビデオゲーム業界はアメリカの貿易黒字に貢献している」「関税はアメリカ経済、産業、消費者を傷つけるものになるだろう」こういった反発の機運もあるようだ。

米国通商代表部は公開した予定リストの中で、この追加関税案に関するパブリックコメントを6月17日まで受け付けると記述している。またパブリックコメントによってリストの内容が変わりうる可能性があることも言及している。米国のゲーマーのみならず日本のゲーム機メーカーにまで影響が及びそうな今回の追加関税案。そのリストからゲーム機などが外れるかどうか、今後の行方が気になるところだ。