「ゲーム・オブ・スローンズ」の“コーヒーカップ”事件が『Skyrim』のMod職人を動かす。大作ドラマのアクシデントが大作ゲームにまで影響

 

海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のワンシーンに映し出された、とある“コーヒーカップ”が、ベセスダ・ソフトワークスが開発する『The Elder Scrolls V: Skyrim』(以下、Skyrim)のMODに登場し、話題を呼んでいる。

まず、ことの経緯を辿る前に「ゲーム・オブ・スローンズ」の内容について、知らない方のために触れておこう。「ゲーム・オブ・スローンズ」とはジョージ・R・R・マーティン著のファンタジー小説「氷と炎の歌」を原作とした海外ドラマシリーズである。現時点では、最終章となるシーズン8が海外および国内で放送されている。ドラゴンや魔法といったファンタジー作品としての基本要素を抑えつつも、個性豊かな登場人物による人間ドラマの展開が好評を博し、米国において、シーズン8第1話の視聴者数が1740万人に達するなど、海外ドラマ界で圧倒的な地位を築いている。

そのような実績を誇る「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズン8第4話のワンシーンに“とあるコーヒーカップ”が映ってしまい、TwitterをはじめとするSNSで騒ぎを起こす事態となった。というのも、映り込んだコーヒーカップは有名コーヒーチェーン店「スターバックス」のカップと見た目がそっくりであり、「ファンタジーの世界なのになぜスタバのコーヒーカップが?」という疑問も相まって大きな話題となった。

これに関して、番組プロデューサーがラジオ局のインタビューを通し、「ウェスタロス(舞台となる大陸)はスターバックスが最初にできた場所」とジョークを飛ばしたり、スターバックスの公式アカウントから「正直、彼女がドラゴンドリンクを頼まなかったことに驚きました」と、コーヒーを飲んでいたであろう登場人物“デナーリス”がファンタジーの世界で、“ドラゴン”ドリンクを頼まなかったことに驚きをみせるといった、ユーモアあるツイートが投稿されたことなども相まって「ゲーム・オブ・スローンズ」ファンを中心に“スタバのカップ”は盛り上がりをみせていた。

その最中、海外掲示板Redditにて『Skyrim』にスターバックス風のカップを追加するModが欲しいといったリクエストが公開された。すると即座にMod職人であるjohnrose81氏やsphered氏らの手によって「Skyland Coffee」や「Mysterious Coffee Cup」と名付けられたModがNexus Mods上に公開。「Skyland Coffee」はゲーム中に登場するジョッキをすべてスターバックスのカップ風の見た目に変更、「Mysterious Coffee Cup」は『Skyrim』のロケーションであるソリチュードの謁見室とドラゴンズリーチの机上にカップを追加する内容となっている。

元々『Skyrim』と「ゲーム・オブ・スローンズ」には、ドラゴンが重要な立ち位置を占めるファンタジー作品、舞台が雪原の地域などといった共通点が存在し、世界観の相性の良さから、「ゲーム・オブ・スローンズ」に登場する武器追加Modや登場人物になりきれるModなどもすでに公開されている。

大作海外ドラマの予想だにしなかったアクシデントが、大作オープンワールドゲームのMod職人を動かすといった今回の事例は大変珍しい。どちらも“大作”かつ世界観が似ていたからこそ誕生したModではないだろうか。今回のModを『Skyrim』へ導入し、“ゲーム・オブ・スローンズごっこ”をするのもまた一興だろう。