ソニーとマイクロソフトが、ゲームのストリーミングサービスなどにおけるパートナーシップを締結。Microsoft Azureの活用を検討


ソニー株式会社とマイクロソフト コーポレーションは5月17日、Direct to Consumer(DTC)のエンタテインメントプラットフォームおよびAIソリューション領域において、新たな顧客体験を開発するためのパートナーシップに関する意向確認書を締結したと発表した。

今回発表されたパートナーシップでは、それぞれのゲームやコンテンツのストリーミングサービスでの用途を目的として、マイクロソフトが提供するクラウド コンピューティング プラットフォームMicrosoft Azureを活用し、将来のクラウドソリューションを共同開発することを検討するとのこと。

またソニーは、自社のゲームやコンテンツのストリーミングサービスに、現在のAzureのデータセンターベースのソリューションを利用することも検討しているという。両社は、これまで以上に充実したエンタテインメント体験をそれぞれの世界中のユーザーに提供し、そしてコンテンツ制作者コミュニティに向けては、より良い開発プラットフォームを提供していくことを目指すとしている。

さらに、両社は半導体とAIの分野での協業も検討するとのことで、まず半導体においては、新しいインテリジェントイメージセンサーの共同開発の可能性を探るとしている。ソニーの強みである最先端のイメージセンサーと、マイクロソフトのAzure AIテクノロジーをクラウドとエッジを跨いでハイブリッドに統合。ソニーの半導体と、マイクロソフトのクラウドテクノロジーを活用したソリューションを合わせることで、より強力で便利なサービスの提供を目指すとのことで、こちらは法人顧客向けを想定している。

そしてAIについては、直感的でユーザーフレンドリーなAI体験を提供するために、マイクロソフトの高度なAIプラットフォームとツールを、ソニーのコンスーマー製品で採用することを検討するとしている。

弊誌読者としてもっとも気になるのは、前段のゲームやコンテンツのストリーミングサービスについてだろう。Azureは140か国にデータセンターを持ち、そのクラウド上でのコンピューティング環境やストレージ環境などは、幅広い分野で活用されている。ゲームにおいては、マイクロソフト自身が「Project xCloud」を2018年に発表。Xbox One(および将来の)ゲームを、スマートフォンやタブレットなどさまざまなデバイスでストリーミングプレイできるサービスで、2019年内にパブリックトライアルをおこなう予定となっている。

一方のソニーは、2012年に買収したクラウドゲーミングサービスGaikaiの技術を基に、PS4およびPS3ゲームをプレイできるPlayStation Nowを提供中だ。また音楽分野ではmora qualitas、映像分野ではCrackleをすでに展開している。今回の発表では、Azureを具体的にどのように活用していくのかまでは言及されなかった。ただ、Googleがこの分野の勢力図を大きく変える可能性を秘めたクラウドゲーミングサービスStadiaを発表し、また次世代PlayStationや次世代Xboxの登場が間近だと言われるこのタイミングで、(ゲーム分野においては)ライバルである両社が将来に向けて手を取ったという点は興味深い。

今回のパートナーシップの締結についてソニー社長兼CEOの吉田 憲一郎氏は、PlayStationプラットフォームをシームレスに進化させ、最高で圧倒的に没入感のあるエンタテインメント体験を提供し続けるとともに、そうした体験をいつでも、どこでも楽しめるクラウド環境を提供していくことが使命だと述べる。そして、マイクロソフトとは競合する領域もあるが、重要なビジネスパートナーでもあるとし、両社による将来のクラウドソリューションの共同開発が、インタラクティブコンテンツの進歩に大きく貢献すると信じているとコメントしている。

またマイクロソフトCEOのSatya Nadella氏は、ソニーは常にエンタテインメントとテクノロジーの領域でリーディングカンパニーであると評し、今回発表した協業はイノベーションの歴史を創るものとなると述べる。そして、ソニーがAzureおよびAzure AIを活用することで、新しいゲーミングやエンタテインメント体験をお客様に提供できることを期待するとした。