『スマブラSP』の動画編集機能で『スマブラDX』のオープニングを再現するユーザー現る。工夫による再現性の高さ光る

 

『大乱闘スマッシュブラザーズ SPEICAL』バージョン3.0にて追加された動画編集機能を用いて、『大乱闘スマッシュブラザーズ DX』のオープニング映像を再現するユーザーが現れた。ユーザーsass253氏は、『スマブラDX』のオープニングのシーンを、できる限り『スマブラSP』の動画編集を用いて、オリジナルに近づけて再現することを目指し、動画製作を敢行。そのクオリティの高さからか、海外コミュニティでちょっとした話題となっている。

『スマブラSP』の動画撮影機能は、バージョン3.0で追加された、リプレイのカテゴリーの中に用意されている機能のひとつである。まずなんらかの試合をし、試合が終わったのちに、リプレイを保存。コレクションのリプレイデータでは、そうした試合のリプレイにおけるカメラを動かしたり画面のエフェクトを動かし、試合の様子を再加工できる。加工したリプレイを動画にしたのち、その動画を切り貼りしたりつなぎあわせて編集し、再現映像ができあがる。それゆえに、動画編集は、リプレイの撮影から加工、そしてカットの編集まで、さまざまなプロセスを経てなされるわけだ。

再現された動画は、とにかくこだわりが光る。冒頭吹き飛ぶマリオからリンクの登場、ドンキーコングの疾走やサムスとリドリーの死闘。アイスクライマーの登山から、ネスの登場。ドラマティックなカットから目まぐるしい全員の紹介シーンまで、可能な限り『スマブラDX』のオープニングが再現されている。GameXplainが、両映像を比較する動画を出しており、こちらを視聴すると完成度の高さがわかるだろう。

「全員参戦」しているからこそできる挑戦である一方、専用に作られたオープニング映像とゲームプレイから編集した再現映像では、製作する上での大きな壁が存在したようだ。製作秘話について、redditでこぼしている。キャラクターデザインの変化も、再現においては問題になる。たとえばシークは、以前は頭を上げて落ち着いたものだったが、現在では不機嫌な若者のようだという。特定のアクションを起こしたりすることで雰囲気を変化させるなど、工夫が加えられたようだ。

またゲーム自体の仕様にもかなり手こずったという。動画編集は最大50クリップで、ひとつの音楽を用いて作られる。『スマブラDX』のオープニングは50カット以上存在しており、つまりできるだけひとつのリプレイを長くし再現する必要があったそうだ。各クリップは1秒以上であることも条件。間隔や時間の制約に縛られながら作ったという。

そのほか、「ポーズ解除音」がリプレイに紛れ込んでしまう現象、動画の冒頭が止まってしまう現象、試合後にリプレイをセーブできないという現象、編集するうちに音楽の同期がずれていく現象など、数々の仕様(もしくは不具合)が招く困難に見舞われながら再現映像を作り上げた。氏は、こうした状況下で映像を仕上げた自身を“正気じゃない”と表現している。そうした経緯を踏まえてみると、映像はさらに味わい深さが増すだろう。

『スマブラSP』の動画編集機能は、ひととおり機能は揃っているものの、本格的なソフトウェアと比較すればカジュアルなツールにあたる。SNSなどに共有するための、簡易的な動画投稿をサポートするものだろう。そんなツールでも、苦労を伴いながらもここまでこだわった映像が作ることができることがわかる。また一方で、『スマブラDX』のオープニングが、愛され続けているということも、改めてわかるかもしれない。