Epic Gamesが『ロケットリーグ』のPsyonixを買収

 

Psyonixは5月2日、Epic Gamesの傘下に入ることを発表した。現在はEpic Gamesは買収手続きに入っている段階であり、それらは5月の下旬から6月にかけて完了する予定だという。開発チームごとEpic Gamesに吸収され、同じメンバーが開発しながらEpic Gamesのサポートを受けられるような体制になるとのこと。運営および開発を続けてきた、132人の従業員が働くPsyonixは、Epic Gamesの傘下に入るわけだ。ゲーム内容は変化せず、今後も頻繁なアップデートが続けられるほか、リソースが増えたことによりeスポーツエコシステムには、より力が入れられるそうだ。

『ロケットリーグ』は、2015年7月にPC(Steam)向けに発売された車サッカーゲーム。壁などで仕切られたさまざまなフィールドにて、プレイヤーは車を操作し、うまく車体をボールにぶつけて、対戦相手のゴールにシュートすることを目指す。シンプルなルールと操作、プレイヤーにテクニックがなくともめぐり合わせや運でゴールできる楽しさ、それでいて上級者も楽しめる競技性を兼ね合わせるなど、入りは易く奥が深いゲームプレイが好評を博し、PCだけでなくPS4/Xbox One/Nintendo Switchでもリリース。累計プレイヤー5700万人を誇るほどのヒットタイトルに成長した。Steamの同時接続平均が3万と安定しており、プレイヤー数ランキングでも上位に君臨していることから、その人気の強さがわかる。

本作はEpic Gamesが提供するUnreal Engine 3で開発されている、長期運営型のタイトル。カジュアルにもハードにも遊ぶことができ、幅広いユーザーベースを抱えている、そしてクロスプレイに力を入れている点など、ジャンルは異なれど『フォートナイト』と共通する点は多い。両者に縁ができた理由もうかがいしれる。「Game as a service」の申し子ともいえるEpic Gamesがバックアップに回るという点は、同作にとって大きなサポートになりえる。

なお、Psyonixは昨年7月に続編を開発する計画はないと語っている

ただし、ユーザーの反応は必ずしも芳しいものではない。というのも、Epic Gamesといえば今はPCプラットフォームの「Epic Gamesストア」の印象が先行しがち。今回の発表でも、プラットフォームに関連したネガティブなリプライが散見される。Psyonixはこうした声に反応し、声明を出した。『ロケットリーグ』はSteamでも購入でき続け、所有者はゲームを遊ぶことができ、さらなるサポートを受けられるそうだ。

Epic Gamesの広報はVarietyにもコメントを寄せおり、こちらのほうが正確にニュアンスをつかみやすいかもしれない。それによると、2019年後半に同作はEpic Gamesストアで販売されるようで、それまではSteamで『ロケットリーグ』を購入可能。Epic Gamesストアで販売開始(移行)が済んだ後は、Epic Gamesストアでのみゲームを購入できるようになるようだ。この段階に突入しても、Steam版を購入したユーザーは、アップデートやDLCや他コンテンツなどすべてのサポートを受けられるという。

Psyonixはコミュニティへの感謝を重ねて述べる一方で、今回の発表を告知するTwitterの投稿には、同作のeスポーツプレイヤーを含むさまざまなユーザーから、不平や不満が寄せられている。より大きな資本、そしてノウハウがある会社の傘下に入ることは、さまざまな点で『ロケットリーグ』を成長させる可能性を持つ。しかしながら、スタジオが語ったように、『ロケットリーグ』はコミュニティからの支持を得て発展を続けてきただけに、こうしたうねりはリスクを伴う。少なくとも、ゲームがリリースするまでに、Epic Gamesストアの機能を充実させることが、強く望まれることだろう。