ゲームアワードを席巻する傑作推理ADV『Return of the Obra Dinn』Steam版が「作品史上2度目」のセール実施中

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Steamにて『Return of the Obra Dinn』が二度目のセールを実施中だ。定価2050円のところ、4月23日までは25%オフの1537円で購入可能(日本語対応あり)。発売から半年を記念したセールである。3月までは一度もセール販売されてこなかったか、今月に入ってからは二度目の25%オフ販売となる。

『Return of the Obra Dinn』は、一人称視点で展開される3Dアドベンチャーゲーム。主人公となるのは、東インド会社のロンドン事務所の保険調査員。1807年の10月14日、5年前に51人の船員と共に消えた大型商船Obra Dinnが、イギリスのファルマスにて発見されたというニュースを聞くところから物語が始まる。ファルマスにて不思議な姿で発見された船に乗り込み被害状況を調査。その中で、Obra Dinnに何が起こったのかを知っていくことになる。

本作の目的は、保険対応をするための船員ごとの被害状況の把握すること。手元にあるのは、船員名簿と集合写真だ。最初は顔と名前、そして死因は結び付けられていない。顔と名前と死因を結びつけ、どのような結末を辿ったかを割り出すことで、被害状況を把握するのだ。被害状況を把握するための、調査という名の推理なのである。しかし、1807年10月の船の状況だけでは、そうした調査は行き詰まってしまう。Obra Dinn船での探索においては、過去が非常に重要になる。

本作では、ドクロの時計の能力を使うことで、遺体を調べればその「残留思念」を読み取り、過去にさかのぼることが可能。過去とは、つまり船員たちが生きていた頃の船である。遺体となった船員がどのような状況にあったのかが、再現されているのだ。しかしその過去は「誰かが死んだ瞬間」が切り取られたもの。どの船員が死んだかだけでなく、その現場以外の状況や音、そして小さな変化も推理のヒントになる。バラバラに散らばった「死の瞬間」を紡ぎながら、真実に迫るサスペンスアドベンチャーゲームなのだ。

本作は、難破船から被害状況を割り出すというユニークなコンセプトだけでなく、死の瞬間を切り出し物語を表現するという強烈なストーリー手法、初期のMacintoshからインスパイアされたモノクロ調に彩られるビジュアル、そして演出に厚みをもたらす静かながら荘厳なサウンド。それらすべてを、Lucas Pope氏が原則ひとりで手がけたという作家性。多岐にわたる点が極めて高い評価を得ており、The Game Awards 2018ではビッグタイトルを制しベスト アートディレクション賞を獲得。GDC 2019のアワードではBest Narrativeに輝いた。Independent Games Festivalでは、Excellence in Narrativeに加えて大賞となるSeumas McNally Grand Prizeに選ばれた。2018年から2019年にかけてもっとも評価の高いインディーゲームのひとつ。

今回のセールにおいても、「値引きなしで買え」という声が寄せられているほど。2050円というインディーゲームとしてはミドル価格の作品で、一度遊ぶと終わりというリプレイ性が低い特徴を持つにもかかわらず、こうした声が寄せられるというのは、本作がいかに評価されているかがうかがい知れる。せっかくの珍しいセール機会ということで、気になっていた方はObra Dinn号に乗船することを強くおすすめする。

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