『SEKIRO』のヒットボックス・ポルノが人々に快感を与える。優れた当たり判定をもとに敵の攻撃を紙一重で避ける悦び

『SEKIRO』のヒットボックス・ポルノが人々に快感を与えている。『SEKIRO』の優れた当たり判定をもとに敵の攻撃を紙一重で避ける瞬間を分かち合うのだ。

ソウルシリーズの作品のように、高難度かつ注目度の高いアクションゲームが発売されるときには、スピードラン界隈が賑わいを見せたり、難易度に関する議論が過熱したりと、恒例の話題が飛び交うようになる。それらと比べると控えめだが、「ヒットボックス・ポルノ(Hitbox Porn)」動画が投稿されるというのも、フロム・ソフトウェア作品では毎度おなじみの現象となっている。それは10日間で売上本数200万突破という好調ぶりを見せる『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(以下、SEKIRO)も例外ではない。

ヒットボックス・ポルノとは、簡単に言えば敵の攻撃を紙一重でかわした瞬間をとらえた映像や画像を指す。ゲームにおいては雑なヒットボックス(当たり判定)に泣かされることもある。だが適格なヒットボックスが設定されている場合には、微小な動きによりキャラクターの身体に当たるギリギリのところで避けるという芸当が可能になり、その優れたヒットボックスや、そこから生み出される紙一重の回避劇が遊び手に快感を与える。まさしくヒットボックスが生み出すポルノ体験だ。

SNSでシェアされるフードポルノ写真が閲覧者の食欲を刺激するように、ヒットボックス・ポルノも見る者に心地よい刺激を与える。ソウルシリーズにおいては本来の意味で使われる場合と、皮肉を込めて逆の意味で使われる場合があり、『SEKIRO』においても両パターンが存在するが、主に本来の意味で使われるケースが多い。

基本的には咄嗟の判断や意図せぬ所作により偶発的に生じるもので、『SEKIRO』においては、2018年のgamescom試遊デモにて撮影された、EpicNameBro氏の動画がヒットボックス・ポルノとして先日redditにて再注目された。こちらはヒットボックス・ポルノとして分かりやすい例と言えるだろう。

『SEKIRO』の発売後は、このような紙一重の瞬間をとらえた映像がSNSやフォーラム上で次々と投稿されている。redditユーザーtajanstvenix氏が投稿した以下の映像では、敵の強打を受けてよろけたのちガード体制に入る際の体勢変更により、次の一撃をギリギリで避ける様子が映っている。こちらは他のユーザーからも同じシチュエーションでの映像が投稿されているとから、比較的再現しやすいパターンなのだろう。

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by inSekiro

tajanstvenix氏のスレッドでは「まぼろしお蝶のなぎ払い攻撃を旋風斬りで避ける。それこそが真のHitbox pornだよ」「マジな話、分かるわ。それで偶然避けれたときはちびりそうになったよ。めちゃくちゃキマッてた」といったやりとりが交わされており、他のユーザーもそうした体験に快感を覚えていることが読み取れる。そのほか流派技をタイミングよく発動させることで獅子猿の振り払いを避けたり(Disentos氏)、しゃがみ動作により敵の銃撃をかわしたり(OnTheRocks氏)、攻撃モーションにより回し蹴りを回避したりと(-Noctaire-氏)、偶然もしくは咄嗟の判断による所作が華麗な回避劇を生み出している。

逆に、「ロバアァーーーート!」でおなじみ甲冑武者戦にて、プレイヤーの仕込み斧による攻撃を、敵の攻撃モーションによってかわされるという例もある(surray氏)。もちろん、すべてのキャラクター、すべての攻撃に完璧なヒットボックスが設定されているわけではなく、正反対の意味で使われることもある。それでも、『SEKIRO』においてはプラスの意味での使用例が多く確認できる。

ヒットボックス・ポルノは『SEKIRO』に限定した事象ではなく、『ダークソウルIII』のようなフロム・ソフトウェア、さらには『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』まで、幅広い作品にてヒットボックス・ポルノと呼べる瞬間が投稿されてきた(catnip_addict氏)。

一方で、先述したように納得のいかない当たり判定という、真逆の意味で使われることがあるのも事実だ。

『SEKIRO』においては攻撃の見極めが特に重要なだけに、紙一重での回避はより大きな快感を生み出す。こうした動画が気になった方はぜひ、お昼休みや就寝前にフードポルノではなくヒットボックス・ポルノを検索してみよう。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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