ValveのDTCG『Artifact』は立て直しに。しばらくアップデートを停止し、大きな見直しを図る

 

Valveは3月30日、『DOTA2』の世界観を基にしたデジタルトレーディングカードゲーム『Artifact』の大規模な変更を予定していることを公式サイトで明らかにした。 『Artifact』はMOBAの要素を取り入れたハードコアなゲーマー向けのDTCGとして期待されていたタイトルであり、またValveの久方ぶりの新作としても注目を集めていた。

しかしマネタイズモデルやゲーム性などが発売直後から不評を呼び、プレイヤー数が大きく減少。厳しいローンチを迎えることになった(参考記事)。 2月頃から公式のアナウンスも途絶え、ゲームの先行きが不安視される中で、ついにValveはゲームを抜本的に変えていく決断を見せた形だ。 『Artifact』の現状について具体的な改善案を示すものではないが、Valveが今後『Artifact』をどう変えていくのか、その大まかな道筋が説明されている。

Valveによれば、同社は『Artifact』をローンチした当初は、コミュニティ内やコミュニティと開発チームの間での対話を元に長い視点でアップデートを重ねていくという予定だったそうだ。 しかし、『Artifact』はローンチ直後から大きな不評を集め、Valveの予想とは大きく異なる展開を辿ることとなった。その隔たりは、Valveがこれまで送り出してきたゲームの中でももっとも大きいものだったという。 プレイヤーのこのゲームとの関わり方やフィードバックを注意深く観察した結果から、『Artifact』の問題は根深く、新しい機能とカードをリリースしていくという当初のアップデート計画では不十分であると判断したとのことだ。

そしてValveは、『Artifact』に存在するゲームデザイン、エコノミー、プレイのソーシャル体験などの問題を再検討する「より大きな一歩」を踏み出すことにしたと述べている。 今後しばらくは、『Artifact』のアップデートを配信する代わりに、長い時間をかけてこれらの大きな問題への取り組みに専念するとのことだ。 具体的な改善案については触れられていないが、開発が完了次第その内容について告知するとしている。

短いメッセージではあるが、プレイヤーのフィードバックを真摯に受けとめゲームを改善していくというValveの姿勢がうかがえる。 Steamページ上では、1日足らずで400件以上のコメントがこの記事に寄せられており、未だゲーマーから注目を集めるゲームであると言えるだろう。 しかしコメントの内容を見るとその多くは辛口なものであり、失った信頼を取り戻すことは簡単ではなさそうだ。 『マジック:ザ・ギャザリング アリーナ』の登場により、DTCG界隈の競争はさらに激しくなりつつある。 加えて同じ『DOTA2』というブランドの中からも、自動戦闘するヒーローをチェスのように配置して戦わせるカスタムゲーム『DOTA2 AUTO CHESS』が爆発的な人気を集めており、ライバルには事欠かない状況だ。大規模なアップデートによって、『Artifact』は再度人気を獲得することができるのだろうか。