平井一夫会長がソニーグループ卒業へ。PlayStationを力強く支えた人物
ソニーの平井一夫会長が同社グループを卒業すると発表した。ブルームバーグなど複数メディアも報じている。前CEOで会長の平井一夫氏は、6月18日開催予定の定時株主総会での承認決議をもって、取締役および会長職を退任するという。今後はソニーグループのシニアアドバイザーとして助言していくとのこと。卒業理由としては、CEOを退任した後の経営が順調に推移しており、体制が整ったと確信したことにより、35年間過ごしたソニーグループから卒業することを決めたそうだ。
平井氏は、もともとはソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)幹部として、PlayStationビジネスの中核を担っていた。入社後SCEAの社長を務め、2007年には久夛良木健氏にかわりSCEグループのCEOに就いた。流暢な英語を用いた巧みなプレゼンテーションが人気を集めており、海外でも「Kaz Hirai」として親しまれ、gifアニメなども量産されていた(Kotaku)。2006年 E3にてPlayStation PortableでPlayStationの『リッジレーサー』を動かす実演デモを見せる際、小気味いい発音で「リッジレーサー」を復唱したことがユーザーのツボにはまったのか、「リッジ平井」というニックネームでも親しまれていた。
2009年にはその手腕を買われ、ソニー本体のビジネスに参加。SCEを含めたネットワーク事業を統括していた。11年には副社長となり、翌年には社長兼CEOに昇任。18年には20年ぶりに営業最高益を更新し、会長となった。そして今回、その会長を退任しグループを卒業することとなったようだ。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは先日、社長兼CEOにジム・ライアン氏が就いており、前任の小寺剛氏が取締役副社長となるなど体制変更がなされていた。平井氏はソニー本体の会長に就いていたこともあり、ゲーム事業だけでなく幅広い部門を統括していた。ゲーム事業とは少し距離ができていたとはいえ、馴染み深い平井氏のグループ卒業に、寂しさを感じるゲーマーもいるかもしれない。先日ニンテンドー・オブ・アメリカの社長であるレジナルド・フィサメィ氏も引退することを発表したばかり。2000年代のE3ではしばしば見かけた馴染み深い顔が卒業および引退していく動きは、時代の流れを感じさせるだろう。