Nintendo Switch版『Xenon Racer』の“トレイラーとは異なる”低パフォーマンスに批判集まる。開発元は早急な改善を約束

パブリッシャーのSOEDESCOは3月26日、『Xenon Racer』をSteamおよび海外PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch向けに発売した。まずまずの評価を得ているものの、Nintendo Switch版に関しては、トレイラー映像とずいぶんクオリティが異なることに批判が集まっている。

パブリッシャーのSOEDESCOは3月26日、『Xenon Racer』をSteamおよび海外PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch向けに発売した。Steamでの価格は4100円で、4月3日までは10パーセントオフの3690円で購入可能。本作は、イタリアのデベロッパー3DCloudsが開発した近未来レースゲームだ。ゲーム内は日本語表示に対応している。なお、SOEDESCOによると各コンソール版の国内リリースも計画されており、おそらく今年後半になるだろうとのこと。

https://www.youtube.com/watch?v=uUWFAbgGBqE

 

ハイスピードレースゲーム

『Xenon Racer』の舞台となる2030年は、車が空を飛んでいる世界。レースシーンにおいても、地上を走る車から飛行自動車への移行が進められているところで、そのためにシーズンが休止となる。この空白期間を埋めるため、ハイブリッドカーの大手製造企業らは地上を走る新人ドライバー向けの非公式レースを開催。電気とキセノンガスを利用した最新マシンにて、世界中の各都市を走り抜ける異次元のハイスピードレースだ。

本作はコーナーを高速ドリフトで抜けていく、『リッジレーサー』を彷彿させるアーケードスタイルのレースゲームとなっており、このジャンルによく見られるブーストももちろん可能。ドリフトしたり、コース上に一定間隔で設置された充電ポイントを通過することで補助バッテリーが3段階まで充電され、これを消費する形で一定時間ブーストできる。ロケーションには東京やドバイ、上海、マイアミ、ボストンなど7都市が登場。レイアウトの異なる計40種類のコースを収録しており、複数用意された車をアンロック・カスタマイズして挑むのだ。ゲームモードには、トーナメント戦やクイックレース、オンラインや画面分割でのマルチプレイがある。

『Xenon Racer』は、アーケードスタイルのレースゲームとしての目新しさは少ないものの、洗練されたグラフィックにて迫力あるハイスピードレースを楽しめるとあって、海外メディアのレビューではまずまずの評価を獲得している。一方で、同時に発売されたNintendo Switch版については、そのパフォーマンスに対する厳しい声が聞かれる。

 

映像とは異なるパフォーマンス

上に掲載したのはPS4版との比較映像だが、フレームレートはPS4版が50fps前後、最大60fpsとなっているのに対し、Nintendo Switch版は20〜30fpsとなっている。さらに、Nintendo Switch版はグラフィック面の演出や解像度でも見劣りし、レース中には樹木や看板などのオブジェクトが近距離でポップアップする様子も見てとれる。また別の動画では、携帯/テーブルモードではさらに画質が低下することが指摘されている。

ハードウェアスペック的に他機種版よりも見劣りしてしまうことや、携帯/テーブルモードにてパワーをセーブする挙動を見せる仕様は仕方がない面はあるが、Nintendo Switchでは本格的なレースゲームがまだ少ないことから、本作に期待していたファンの落胆を誘ったようだ。また『Fast RMX』のように、Nintendo Switchでも素晴らしいグラフィックを実現しているタイトルがあることも、本件を議論するRedditでは比較対象に挙げられている。

こうした指摘に対して開発元の3DCloudsは、ポップアップの問題や基本的なパフォーマンスの改善を目的としたパッチを来週にも配信予定だとしている。また販売元のSOEDESCOは、Nintendo Switch版においては任天堂とのやりとりに遅れがあったとし、現在の状態は両社が本作に求めていたものではないとコメントしている。いわば未完成の状態で発売したと受け取ることができ、この点については議論の余地がありそうだが、まずはパッチにてどのように改善されるのか注目したい。

一方で、本作を巡ってはそのプロモーション手法にも不満の声があがっている。ニンテンドーeショップに掲載された本作の動画やスクリーンショットは他機種版と共通となっており、Nintendo Switch版がどのような内容かを正しく示していないという意見だ。共通の素材を各ストアにて使用するマルチプラットフォームタイトルは珍しくはない。ただし、本作のようにパフォーマンスが大きく異なる場合は、汎用的なトレイラーの掲載は確かに判断材料にはならない。上に掲載したような比較映像や評判などを知らなければストア上の情報を信じて購入するしかなく、前述のRedditではニンテンドーeショップにもユーザーレビュー機能が必要なのではないかという声が聞かれる。少なくとも、一部タイトルにて実施されているように、Nintendo Switch版そのものの動画やスクリーンショットを掲載するような基準は必要かもしれない。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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