『Anthem』が2月の米国ゲーム売上トップに輝く。一方で開発元BioWareは不安定なローンチを自覚し、今後の改善を約束


米国の調査会社NPD Groupは3月19日、同国での2019年2月の調査結果を公表。その中のゲーム関連の売り上げについて、海外メディアVentureBeatGameSpotなどが報じている。小売店のパッケージ版売上と、パブリッシャーから提供されたダウンロード売上データをもとにしたNPDの調べによると、米国における2019年2月の売上金額トップに輝いたのはElectronic Arts/BioWareの最新作『Anthem』である。

なおOriginで販売されている『Anthem』のPCダウンロード販売は調査対象外。また本作はEAのサブスクリプションサービスOrigin Access Premierの対象タイトルでもあり、そちらを利用して『Anthem』を遊んでいるプレイヤーがいることも念頭に置いておきたい。そうした条件を踏まえた上でも売上トップという力強いスタートを切っており、現時点では2019年の累計売上金額でも『キングダムハーツ III』に次ぐ2位にランクインしている(3位は『バイオハザード RE:2』、4位は『ジャンプフォース』)。なおBioWare開発タイトルとしては、『Mass Effect 3』に次ぐ初月売上金額とのことだ。

『Mass Effect 3』

ほかには新作の『JUMP FORCE(ジャンプフォース)』『ファークライ ニュードーン』『メトロ エクソダス』、1月後半に発売された『キングダムハーツ III』『バイオハザード RE:2』がランクインする中、2018年に発売された『レッド・デッド・リデンプション2』『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』『Call of Duty: Black Ops 4』『NBA 2K19』といったヒット作が根強く売上を伸ばしている。新作の中では『メトロ エクソダス』が8位とやや低めの順位となっているが、フランチャイズとしては過去最高の初月売上金額であり、前作『メトロ ラストライト』の1.5倍近くの数字になっているという。

以下は2月の米国売上金額トップ10。なお任天堂タイトルのダウンロード販売と、Activision BlizzardタイトルのPCダウンロード販売は計上されていない。

  1. 『Anthem』
  2. 『ジャンプフォース』
  3. 『キングダムハーツ III』
  4. 『ファークライ ニュードーン』
  5. 『レッド・デッド・リデンプション2』
  6. 『バイオハザード RE:2』
  7. 『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』
  8. 『メトロ エクソダス』
  9. 『NBA 2K19』
  10. 『Call of Duty: Black Ops 4』
『キングダムハーツ III』

『Anthem』は問題の多いローンチを迎えたものの、注目度の高いタイトルであったこともあり、米国では順調に売上を伸ばしていることがうかがえる。なおパブリッシャーのElectronic Artsは2月時点で、『Anthem』の売上予測として「3月末までに500万本~600万本」という数字を出している。次の決算報告では、期待通りの結果を残せたのか、言及されることだろう。

同作は優れた飛行アクションや美麗なオープンワールドなどが評価されつつも、ローンチ当初から技術的なトラブル、ロード時間の長さと回数の多さ、武器スケーリング、戦利品のドロップ率および報酬バランス、コンテンツ不足、PS4の強制シャットダウンなど、さまざまな問題に悩まされてきた。スムーズなローンチを迎えることができなかったことは、もちろん開発元も認識しており、BioWareのゼネラル・マネージャーであるCasey Hudson氏は公式ブログにて、「予想よりも荒れたローンチになった」と語っている。

Hudson氏いわく、こうした規模の大きいオンラインゲームは、発売時に何かしらの問題に直面する傾向にあるため、予期せぬ問題にも対処できるよう準備はできていたという。何百万ものプレイヤーに遊ばれるようになって初めてわかる問題点もあったとはいえ、そうした問題が残ってしまったことには、プレイヤーだけでなく開発陣自身も残念に思っていると述べている。そしてプレイヤーにゲームを楽しんでもらえるよう、そうした問題に対する改善を迅速かつ安全な方法で届けることが彼らの最優先事項であると語ると同時に、『Anthem』の今後に期待してほしいと伝えた。

具体的には、ゲームフローやエンドゲームのプログレッションおよび戦利品ドロップの改善、安定性やパフォーマンスへの取り組み、今後無料配信されていくストーリーコンテンツやフリープレイイベント、そして5月に配信予定の「The Cataclysm(天変地異)」などを挙げ、『Anthem』はまだまだこれから良くなっていくのだと意気込んでいる。なおBioWareにとって『Anthem』は初のライブサービス型タイトルとなるが、同社が今後開発するタイトルは、また『Anthem』とは違った方向性のものになるとのことだ。