『ポケモンGO』をスマホ22台で遊ぶ台湾の“複アカおじいちゃん”、ASUSのスマホのアンバサダーに任命される
『ポケモンGO』を複数台のスマートフォンで遊ぶ、台湾の“ポケモンおじいちゃん”こと陳清波氏が、台湾メーカーASUSのブランドアンバサダーに任命されたことが話題を呼んでいる。2月14日に任命されていたが、3月18日に台湾メディアApple Dailyに取り上げられたことにより、話題になったようだ。
陳氏は、台南にて住職として働く70歳の男性。ごく普通の男性であったが、2016年9月に息子から誕生日のプレゼントとしてスマートフォンをもらい『ポケモンGO』と出会って以来、生活が一変。認知症予防のために始めたが、次第に同作にのめりこむ。当初はスマートフォン3台持ちで遊んでいたが、3台では物足りなくなったのか、同時に稼働させるスマートフォンの数を徐々に増やしていく。
最近では最大22台のスマートフォンを自転車にとりつけ『ポケモンGO』を遊んでいることが報じられ、そちらも話題を呼んだ。台湾国内でも人気プレイヤーとなっているほか、Redditなどで取り上げられたのち、海外では「ポケモンおじいちゃん」と呼ばれているとのこと。なお、スマートフォン自体は29台持っているそうだが、スマートフォンを自転車につけられるのが22台であるがゆえに、現時点で22台と公称しているそうだ。なお、22台のスマートフォンに入っている『ポケモンGO』のトレーナーレベルはすべて30以上 。自転車およびスマートフォンの月間の維持費は、日本円で約3万5000円にのぼるようだ。
陳氏が任命されたのは、ZenFone Max Proのアンバサダー。パフォーマンスとバッテリーに強みを持つASUS社の売出し中のデバイス。GPS精度の高さにも力が入れられているといい、『ポケモンGO』を遊ぶにはうってつけのデバイスである。現在はZenFone Max Pro 22台を使い、自転車で巡回を進めている。前述したように、陳氏は台湾内でも有名人。つまりタレントだ。そうしたおじいちゃんを使い、製品プロモーションをおこなったASUSのマーケティングには台湾Yahooを含めたメディアから称賛が寄せられている。
ただし、この話は単なる美談に終わるわけではない。『ポケモンGO』においてはひとりのユーザーが複数アカウントを所持するのは、グローバルに規約違反。同サービスを運営するNianticは、サービス利用規約の中で、不正行為として禁止する事項のひとつとして「同一の本サービスを複数のアカウントによってプレイすること」を定めている。英語での表現は「Playing with multiple accounts for the same Service」。中国語での表現は「在同一個本服務中以多個帳戶玩」。ひとつのサービスに対して、複数のアカウントでプレイしてはいけないと呼びかけているわけだ。
複数アカウントでのプレイ禁止については、フェアネスやアカウント売買の防止など、さまざまな意図があり決められたのだろう。ともかく、複数のアカウントで遊ぶことがサービス違反だとNianticが定めている以上、多くのプレイヤーがそのルールを遵守している。そんな中で、22台のスマートフォンで『ポケモンGO』を遊び正面から規約を違反するプレイヤーに対し、複雑な想いを抱く人もいるのではないか。
しかし一方で、ASUSという巨大メーカーが“タレント”として陳氏を起用した。複数アカウントを使い22台で『ポケモンGO』を遊ぶプレイヤーが広告塔になれば、禁止であると定めている規約に対する認識がないがしろにされかねない。『ポケモンGO』はコミュニティのイベントにより発展を遂げている。そしてASUSの選択もあくまで、『ポケモンGO』外の出来事だ。しかしながら、陳氏の存在の肥大化は、一般ユーザーの好奇心を掻き立てながらも、同時にNianticにとっては頭痛の種になりつつあるかもしれない。